遺跡や古墳をレーザースキャンして調べ直すことは、もはやスタンダードとなりつつあるわけだが、航空レーザースキャンによってまた新たな事実が発見された。兵庫県淡路市舟木遺跡だ。淡路島には丘陵地帯に大小合わせて200箇所余りの遺跡群が点在しており、舟木遺跡はその一つだ。弥生時代後期の竪穴式住居跡や多数の土器、後期から終末期の物と見られる漁具のヤスや釣り針等の鉄製品104点が出土したことで、九州や山陰地方の海民集団との関係性を示す貴重な資料として、大きな注目を集めている遺跡だ。
今回の航空レーザー測量で舟木遺跡周辺の1.96㎢を調査し、そのデータから赤色立体地図(地形の凸凹を赤色の明度と彩度で表した地図)が作成されたことで、これまでの調査では分からなかった新たな発見が得られたという。
舟木遺跡は標高150~190m付近に位置しており、東西約500m、南北約800m規模の遺跡だと考えられてきた。しかし、今回作成された立体地図により、更に北に200~300m広がっていることが判明した。また、山の尾根や斜面を整地して平地を造成していたことも分かった。竪穴式住居跡が発見された地点と今回発見された平地の位置が一致していることから、住居を立てる為に整地されたのではないか、と推測されている。竪穴式住居跡のある北尾根のエリアでは、高温により変色した土面や鉄器片が発見されており、鍛冶工房があったと考えられる。また、南尾根のエリアでは土器や鉄器が多数発掘されていることから、住居等のある生活の場ではなく、祭祀や儀式の行われる特別な場所だったのではないかと見られている。
淡路島は国産み神話の地だ。伊邪那岐命と伊耶那美命が天沼矛で混沌をかき混ぜ、最初に生まれたのが、道之穂之狭別島(あはぢのほのさわけのしま)、つまり、淡路島だとされている。神話の地で、邪馬台国直前の時代の発見が成されたのも何かの縁だろうか。日本全国の古墳の総数161,560基。その数は全コンビニを合わせた数よりはるかに多い。古墳全てを航空レーザースキャンして調べ直したら、どれ程の新発見が得られるか気になるところだ。いっそのこと日本列島全部をまとめてスキャンすれば面白いのでは、と思わないでもないがどうだろうか。
参考
*毎日新聞
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2018/05/02/20180502oog00m010072000p/7.jpg?1 (画像1)
*産経新聞
https://www.sankei.com/west/photos/170420/wst1704200004-p3.html
https://www.sankei.com/region/news/180323/rgn1803230060-n1.html
https://www.sankei.com/images/news/170420/wst1704200004-p3.jpg (図2)
執筆者:株式会社光響 緒方