大きな生物への憧れは誰しも持っている物ではないだろうか。クジラ然りゾウ然り、ライオンやトラだって大きくなければ今のように持て囃されたりはしなかったかもしれない。それが、今はもういない生物であったなら尚更だ。やはり、古代生物、特に恐竜への憧れは断ちがたいものがある。大型の恐竜、例えばアンキロサウルスやトリケラトプス、ステゴザウルスにT-REXは今も昔も男子の憧れの的だ。
最近の研究によって、今までは想像するしかなかった恐竜の色が判明したり、毛が生えていることが分かったり、T-REXの足があんまり速くなかったというあまり知りたくない事実が明らかになったりと、発展著しい恐竜業界だが、その研究はなかなかに大変だ。何しろ、発見される化石の数は限られている。その化石を詳細に調べたい場合は、それが保管されている研究所や博物館へ足を運ばなければならない。写真や映像には勿論残しているが、それでは分からないことが多々あるのは当然だ。いつでもどこでも恐竜の研究をしたいという願いを叶え、現状を打破する新しいコンテンツが存在するのを御存じだろうか。使われるのはVRだ。
エンターテインメントにアートに医療にと多岐に渡って使われ始めているVRは遂に恐竜研究の場にも登場し始めているのだ。開発したのはアメリカ・南フロリダ大学。アメリカはダイナソー国定公園を抱える恐竜発掘の本場である。流石というべきかもしれない。南フロリダ大学は、恐竜の化石をVRで3D化し、観察・研究が容易になるシステムを開発したのだ。X線、レーザー、コンピューターアニメーションの技術を駆使して作られた恐竜の3DモデルをVRで観察できる上に、化石を動かして自由な角度から見ることができ、更には化石内部を観察することもできるのだ。
その興味深い映像がこちらだ。
*Paleontologists Learning More About Dinosaurs with Virtual Reality
まるで生きて動き出したかのような映像だ。しかも、石の中から取り出されていない化石の詳細もこれならば確実に把握できる。化石は石と一体化してしまっている場合や、脆くて取り出すことが不可能なものも少なくはない。貴重な化石を破損させることなく、しかも現場や博物館にいなくても手に取るように観察できるこの技術は、研究者ならずとも恐竜を愛する者ならば垂涎の物と言っても過言ではないはずだ。まさに詳細に研究はしたい、しかし取り出したら壊れてしまう。自由に研究することにブレーキかけざるを得なかったジレンマを解決し、研究者たちの願いを叶えたシステムと言えるだろう。
2011年に鉱物の採掘現場で発見されたこのノドサウルスの完全な全身化石も3D化してVRで見られるようになる日が来るのかもしれない。研究者ではない一般人が本物の化石に触れられる機会というのはなかなか得られないものだが、この技術であれば破損の心配もなく、リアルな化石を楽しむことができる。今は研究者向けのシステムだが、いつか、恐竜を愛する一般人向けにも開放されてくれないか、と思う人は多いのではないだろうか。
*MoguraVR
*VR SCOUT
https://l3apq3bncl82o596k2d1ydn1-wpengine.netdna-ssl.com/wp-content/uploads/2017/05/dinosaurs-vr-810×608.jpg (Top画像)
https://wordleaf.c.yimg.jp/wordleaf/thepage/images/20170518-00000030-wordleaf/20170518-00000030-wordleaf-0c7d7c18c1ad7b32183fa3dfa145e276d.jpg (図1)
執筆者:株式会社光響 緒方