自律走行車の開発レースの勝敗を決める「LiDAR」技術

自律走行車の開発レースの勝敗を左右するとされ、ウェイモとUberの裁判の火種ともなったセンシング技術「LiDAR(ライダー)」。アポロ15号でも使われ、実は数十年の歴史をもつこの技術は実際、どのようなものなのか。その仕組みと歴史、そして課題をひもといた。シリコンヴァレー、ピッツバーグ、ボストン、サンフランシスコ──。自律走行車がテスト走行している都市に住んでいれば、疑問に思ったことがあるかもしれない。クルマの上についている、あの大きくなりすぎたガムドロップのような物体は何だろうか?あれはLiDAR(ライダー)と呼ばれる装置だ。「みんなのための自律走行車」の開発レースが加熱しているいま、勝負の行方を左右する最も大事なハードウェアといってもいいだろう。

そもそもLiDARとは何か
LiDARの仕組みは、レーダーに似ている。ただし、電波ではなくパルス状の赤外線を照射し、周りの物体に反射して返ってくるまでの時間を測定する。この照射・測定の流れは1秒に数百万回行われる。集められた情報は点群へと集約される。点群とは、リアルタイムの3Dマップのようなものだ。データは詳細なものであり、物の位置だけでなく、それが何かを特定するのにも使える。車載コンピューターで物体を識別し、動きを予想し、その後どう運転するべきかを予測できる。自律走行車は周りの世界を“見る”ために、レーダーやカメラなどほかのセンサーも使っている。しかし、どれもレーザーヴィジョンに太刀打ちできるものではない。レーダーは信頼できるが、腕や脚を識別できるほどの解像度はない。カメラはそうした詳細を把握できるが、2D画像を3Dにするには機械学習技術を使ったソフトウェアが必要だ。

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