すね肉をステーキで味わえる! レーザー調理器「スジケッチャーノ」

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生き物は須らく、食べずに生きていくことはできない。
人間はその条件の中で「料理」という技術を生み出し、より安全に、より美味しく食べる術を体得してきた。長い料理の歴史の中で、煮る、焼く、揚げる、蒸す、茹でる、炒める、と数々の調理法を確立して現在に至るわけだが、太古の昔とは比較にならない科学技術の発展を迎えた今、そろそろ新しい調理法を編み出しても良い頃合いなのではないだろうか。

調理の基本は加熱だ。火の力で食材を温め、その味を引き出している。だが、現代社会に於いて加熱することができるのは火だけとは限らない。というわけで、レーザーだ。

レーザーが調理の現場で使用されることはそんなに珍しいことでは無くなりつつある。クッキーやビスケット、どら焼きの皮に刻印を入れたり、チョコレートに模様を描くことすらできる調理用のレーザー加工機は、既に多方面で活躍し始めている。そして、模様や刻印という装飾的な部分ではなく、食事の最も重要な要素である味や触感に大きく関わる作業をしてくれるレーザーが、既に実用化されているのだ。

食材は、すね肉だ。カレーに、シチューに、或いは牛丼の具に、と安くて美味しい部位ではあるが、じっくりと煮込まなければならない所が難点だ。ステーキや焼き肉のように焼いただけでは、顎の筋トレにはなるかもしれないが、固くて食べづらい。しかし、実は、お肌の味方コラーゲンを多く含んでいるのだが、そのコラーゲンがすね肉のスジ感の原因の一つでもある。鎖状につながったコラーゲンは加熱すると収縮し、そこから更に煮込むことで千切れてゼラチン質になる。これが煮込まれたすね肉が美味な理由だ。この煮込みによる加熱の工程を、レーザーで行えるようにしたのが、静岡県浜松市の大建産業株式会社と、山形県出身の有名シェフ・奥田政行氏。

すね肉は、その触感さえクリアすれば非常に美味しい。しかも安い。スーパーやお肉屋さんでヒレだのロースだのと比べてみれば一目瞭然の違いがある。もし、このすね肉をステーキとして提供することができれば、客は安くて美味しいものを食べられ、レストランは利益が上がり、PR効果もある、というお得3点セットを実現できる、という奥田シェフ発案のコンセプトから開始されたのだという。大建産業としても、今までにないこの調理器具を開発・販売すれば多角化経営に向けての大きな弾みにもなる。と、共同開発に至ったとのこと。

スジ部分をしっかり加熱してゼラチン質にするためには、肉に対して吸収しやすい相性の良いレーザーを選択しなくてはならない。CO₂レーザーは肉の表面を焦がしてしまい却下。ファイバーレーザーを使用しての実験の結果、見事にすね肉のスジの部分(コラーゲン)を加熱してゼラチン状にし、その後で赤身の部分を焼けば、前代未聞の「柔らかいすね肉ステーキ」の完成だ。

実験の成功を受けて作られたのは、1号機から3号機までの全3機。幅50cm、高さ30cm、奥行き20~30cmという電子レンジ程度の大きさでキッチンに置くのに不便の無いコンパクトサイズだ。上部からレーザーを照射し、すね肉のスジを焼き切るようになっている。

1号機は手動、2号機はゲーム機のコントローラーのようなジョイスティツクでの操作、3号機では再び手動、と操作方法にも改良を加え、安全性もそれにしたがって向上している。製品名は「スジケッチャーノ」。特許も取得し、全国で3店舗、開発に協力した奥田シェフのイタリアンレストラン「アルケッチャーノ」、「やくけっちゃーの」、東京スカイツリー・ソラマチにある「ラ・ソラシド」で導入されている。すね肉ステーキを味わってみたい方は、訪れてみてはいかがだろうか。

現在は、使用者がある程度の訓練を必要とするようだが、スジケッチャーノ」が自動化されれば加工食品メーカーとの提携も期待され、今後の開発の進展具合が気になる製品と言えるだろう。大手メーカーに限らず「美味しい肉を安値で食べたい」という需要は、恐らく尽きることは無いと思われる。一般市民の一人としては、家庭用の「スジケッチャーノ」が発売されないものか、少し注目していきたいところだ。

*大建産業株式会社
https://i2.wp.com/daiken.sub.jp/wp-content/uploads/2017/03/39dfecf0ddefe015371cb470ff73affc.png?w=1200

*全国郷土紙連合
http://www.kyodoshi.com/news/13114/

*中小企業を進化させるための中小企業経営者進化論
https://www.gpi.ac.jp/media/201604_ko29.pdf

*山形 気ままブログ
http://kimama.n-da.jp/e665664.html
http://img01.n-da.jp/usr/k/i/m/kimama/%E3%82%84%E3%81%8F%E3%81%91%E3%81%A3%E3%81%A1%E3%82%83%E3%83%BC%E3%81%AE.png (Top画像)

執筆者:株式会社光響 緒方