80年越しの実証。レーザーをぶつけ合って、光の物質化の実現に挑む

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『光は物質に変えられるのか。』
荒唐無稽な問いに思えるが、理論的には「YES」だ。

1934年、グレゴリー・ブライトとジョン・ホイーラーは、2つの光子を衝突させれば陽電子と電子が生成される、とした論文を発表した。この時点で、論で示すことは出来ても実証は極めて困難で、発表した2人の研究者も実現は不可能と考えていた。実証には莫大なエネルギーの粒子を必要とする為、現代に置いても実際に確認されたことはない。この未だ実証されていない理論を証明する実験が間もなく行われようとしている。2014年、英国インペリアル・カレッジ・ロンドン物理学部の研究者たちは、高エネルギー粒子を使わない実証方法を考えだした。そして、間もなく以下の方法で実験が行われる見通しだという。

そのシステムは、2つの高出力レーザーを使用する物で、1つは可視光を形成する光子のエネルギーの1,000倍、もう一方は1,000,000倍のエネルギーを持つ物を使用する。この装置を使って光子を生成し、それを衝突させて実験を行うのだ。実験は二段階に分けて行われる。第一段階では、ターゲットチャンバーの中でレーザーを使って電子を光速よりも少し遅い速度まで加速し、金の板に衝突させて高エネルギーの光子ビームを発生させる。次の第二段階では、金のチューブ内部で高出力レーザーを爆発させ、熱放射場と星の発光と似た光を生成刺せる。第一段階の光子ビームと、第二段階の場を組み合わせると光子がぶつかり合って電子と陽電子ができる、という寸法だ。

実験には、ラザフォード・アップルトン研究所の中央レーザー施設のGeminiレーザーが使用宇される。Geminiは高出力、超短パルスレーザーシステムで15J、30fsレーザーパルスのデュアルビームを20秒ごとに1ショットの割合で供給し、1021Wcm-2を超える強度に焦点を合わせることができる。

実験結果に関しては、陽電子が別のプロセスで発生したものでは無いかどうかの確認等、慎重を期さなければならない、とのことだが、その期待値は非常に大きい。未だ理論だけではあるが、多くの物理学者が実験は成功すると見ており、更に、今現在存在している技術で、光から物質を作り出せるかもしれない、ということに驚きと共に大きな期待を寄せている。実験が成功すれば、それは宇宙始まりの最初の100秒、ガンマ線バーストのプロセスを実験室内で再現するということだ。宇宙最大の爆発と、物理学史上最大の謎の解明に王手をかけるきっかけとなるかもしれない。

*カラパイア
http://karapaia.com/archives/52257498.html

*GIZMODE
https://www.gizmodo.jp/2014/05/post_14619.html
https://gizmodo.com/scientists-may-have-figured-out-how-to-turn-light-into-1578423814

*インペリアル・カレッジ・ロンドン
http://www.imperial.ac.uk/news/185368/experiments-underway-turn-light-into-matter/

*ラザフォード・アップルトン研究所/中央レーザー施設
https://www.clf.stfc.ac.uk/Pages/home.aspx
http://www.imperial.ac.uk/ImageCropToolT4/imageTool/uploaded-images/newseventsimage_1521463293282_mainnews2012_x1.jpg (画像1)

http://envradnet.co.uk/assets/components/phpthumbof/cache/envradnet-generic-6.e18ee9aa1fe3ac1b6d20ff3895a46cae.png (画像2)

執筆者:株式会社光響  緒方