寿司ネタ不動の一番人気と言えば、マグロだ。
赤身、中トロ、大トロ、中落ち、何処をとっても美味。寿司でなくとも刺身でも、刺身でなくともネギマもカマ焼きも目玉も、日本で広く愛される海産物だ。食卓を大いに賑わしてくれる日本人のご飯/酒の友、マグロだが、絶滅の危機が叫ばれて久しい。各国で協議し漁獲制限を設ける等世界的な対策と共に、養殖技術の確立を目指した研究も行われてきた。そして、「世界で初となるマグロの完全養殖に成功」と言えば、近畿大学だ。近大と言えばマグロ、マグロと言えば近大だ。
近畿大学は海産物の養殖だけを研究しているわけでは勿論ない。数多くの研究の中で、今、話題と注目を集めているのは、マグロの新しい生態調査の方法だ。マグロの生態は実は分かっていないことの方が多い。こんなにも愛して食されている海産物なのに意外な事だが、同じく日本での愛され海産物ウナギと同様に、回遊ルート等の生態系は謎に満ちているのだ。この神秘のベールに包まれたままのマグロの真実を解き明かそうと、現在使われているのは、タグ付けによる調査が主流だが、これには体に埋め込まなくてはならない為、対象魚への負担が大きいことや、バッテリーの問題、タグ付けした魚を再度捕獲しなければならないが回収率がよろしくないこと、リアルタイムでの精密な情報が得られないこと等の問題点がある。それを解決すべく、近畿大学が提案しているのが、
『宇宙マグロプロジェクト』、だ。
名前だけでも何やら壮大な雰囲気だ。広大な宇宙空間を巨大マグロが悠々と泳いでいそうなネーミングだ。2018年4月18日からクラウドファンディングで出資を募るこのプロジェクトは、水棲生物に負担をかけず、尚且つリアルタイムで情報が収集できる新しい調査方法の開発に関するものだ。従来の生態調査で使われているタグの代わりに、マグロ等の水棲生物に再帰性反射材を固定して、レーザーを照射しその反射光を測定することで、水中にいる水棲生物を追跡する。既にドローンや航空機を使っての反射実験は完了しており、数十m~数百mの距離の測定は問題なく行えている。
また、生物に何かを取り付ける、という部分は変わらないがタグのように体内に埋め込んだり、アンカーやワイヤーを打ち込む必要が無く、また非常に薄く軽いシート状の反射板を使用する為、かかる負担は格段に少なくなり、海産物に優しい調査方法となっている。
そして、クラウドファンディングで出資を募っている計画が、更に高い高度、つまり宇宙からの追跡調査だ。人工衛星からのレーザー照射によって、より広範囲にリアルタイムの追跡を可能とするシステムの開発を行う。これが『宇宙マグロプロジェクト』だ。
クラウドファンディングで集めた資金は、人工衛星の製作費用に充てられ、地上から上空300kmの人工衛星にレーザーを照射し、観測が可能かどうかの実証試験を行い、最終目標である宇宙からレーザーを照射し、広範囲に追跡できる新たな生態調査方法の開発を目指すという。世界の人口は増加傾向にあり、反比例するように海産資源は減少を続けている。日本は有数の海産物の消費国であり、漁獲量の制限等と共に多くの種の養殖事業にも力を入れている。将来的な資源の確保を考えれば、天然資源の保護・安定化と養殖事業の両立は不可欠だ。
気の早い話かもしれないが、この調査方法が確立されれば天然資源の安定化に大きく貢献することは間違いなさそうだ。『宇宙マグロプロジェクト』の募集期間は、平成30年4月18日(水)~5月31日(木)から。以下のURLで4月18日6:00から公開される。
http://camp-fire.jp/projects/view/36679?token=3tlseafa
目標金額は、1,900,000円。
支援金額に応じて様々なリターンもあるのでそれぞれ御確認の上、興味本位でも、無類のマグロ好きでも、真剣に海産物の将来を憂いてでも、近畿大学の研究に興味津々でも、理由は何でも構わないので、支援して見れば未来の美味しいお刺身とお寿司の為の力になるかもしれない。
*近畿大学
https://www.kindai.ac.jp/
*大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/2018/04/post-39216.html
*CAMP FIRE
https://camp-fire.jp/projects/view/36679?token=3tlseafa
https://cdn.camp-fire.jp/jbimages/2bcfbe90-cc4f-47e6-bb4f-1f1d803fabf9.png
(図1)
https://cdn.camp-fire.jp/jbimages/29bc18ad-329b-454f-9731-92f28dceb846.png (図2)
https://cdn.camp-fire.jp/jbimages/8d17643b-1879-4d0d-9d97-64195bdede80.png (図3)
https://cdn.camp-fire.jp/jbimages/a6a565c2-03dd-405e-b2ca-2f69b54a73d5.png (図4)
https://temaeitamae.jp/top/t7/a/img/a69.jpg (Top画像)
執筆者: 株式会社光響 緒方