スマートフォンやPCの心臓部にあるCPUでは、0と1のデジタル信号が1秒間に10億回以上も処理されています。そんな状態でも、さまざまな要因で「このスマホ、動作遅いなぁ……」と思ってしまうこともある中、新たに「レーザー光」を使うことで従来のプロセッサの100万倍も高速に動作できる可能性を示す新技術が開発されています。
Lasers Could Make Computers 1 Million Times Faster
https://www.space.com/40622-laser-computer-speed-quantum.html
この研究は、ミシガン・カレッジ・オブ・エンジニアリング大学の研究チームが進めてきたものです。チームでは、六角形の格子状に作られた特殊な構造にレーザー光による光のパルスを照射することで、極めて高速に0と1の状態を作り出すことができる技術の基礎を作り上げました。その「高速」がどれほどのものなのかというと、1秒間に書きかえられる回数は「1×10の15乗回」というもの。数字を並べると「1,000,000,000,000,000」で、日本語の桁で表すと、「1秒間に千兆回」というとてつもない単位に。これは、現代のプロセッサよりも100万倍速い性能を実現することが可能になるとのこと。
この実験では、タングステンとセレニウムの原子が交互に並んでハニカム形状を構成する格子上に、赤外レーザー光をパルス状に高速に点滅照射することで、0と1のビット状態を再現しています。そしてこの時、ビット状態を再現するのは「電子のトラックの位置」であるとのこと。ほとんどの分子では、原子を取り巻く軌道にある電子が刺激を受けて興奮状態(励起(れいき)状態)に置かれると、複数の量子状態「擬似スピン」の状態に変化します。これは、原子を取り巻く電子周回トラックが複数あり、励起された電子がとなりのトラックへとジャンプするようなものとイメージすれば良いとのこと。励起されていない時、電子は分子の近くに留まり、安定的に周回を行います。しかし、レーザー光などの刺激を受けることで電子は励起され、通常の外側のトラックに移ってそのエネルギーを消費する必要が生じます。
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