火星に生命体はいるのか。「エクソマーズ」に向けNASAが小型分析装置『MOMA』を開発。レーザーで加熱→揮発させて分析も。

最近は海底が気になったり、宇宙的隣人アルファケンタウリ星が気になったり、と色々記事にしたり、宇宙より足元の海を良く知るべき、と思ってみたりしたわけだが、やはり、今一番熱く注目されている星を無視することはできない。

『火星』だ。

NASAは火星への有人飛行を今後15年~20年以内に実施することを計画しているし、中国やロシアも同様だ。国家レベルだけではなく、民間でも火星に関する驚きの計画はいくつか打出されており、オランダの民間非営利団体「マーズワン」は2025年に火星移住する為の人選を行い、訓練まで始めている。また、スペースXの創業者イーロン・マスク氏も、100万人の火星移住計画推進の為に、宇宙飛行の低コスト化の研究に邁進している。誰も彼もが夢中になっている火星に既に乗り込んでいるモノもいる。火星探査機ローバー「キュリオシティ」だ。

2016年には通信が途絶えながらも無事復活、2017年には車輪に亀裂が見つかり老朽化を心配されながらも、2012年の火星到達以来、火星の驚異に満ちた写真(偶に自撮りも)や、レーザーで吹き飛ばした石や岩のデータを健気に地球に送り続けてくれているのだ。2020年には、NASA、ESA(欧州宇宙機関)、ロシア、ロスコスモスが参加するする火星探査ミッション「エクソマーズ」が計画されている。NASAは、その生命探査活動の為に探査車に搭載する新しい分析装置を開発した、と発表した。

「Mars Organic Molecule Analyzer」(MOMA)と名付けられたその新装置は、探査車がドリルで採取した火星の砂礫や土を分析し、生命の有無や痕跡を示す有機化合物の発見することを目的として作られている。従来、この類の分析装置はビッグサイズなものと相場が決まっている。大体は実験室のカウンター2つ分程度のサイズが平均だという。地球上の実験室で使う分には全く問題ないが、火星探査機に積み込むにはあまりにも大きすぎるし重すぎる。そもそも搭載できるサイズの探査機を火星に送り込めるのかどうかすら怪しい。送り込めたとしても、そんな巨大な探査機の使い勝手はどうなのか、と首を捻らざるを得ないところだ。

で、どうするかと言えば、当然小型化である。NASAの今回の発表によると、そのサイズはなんとオーブントースター程まで小さくなったというのだ。その大きさなら探査機に積み込むことが充分に可能だ。小型化されたMOMAには、こちらも超小型の質量分析装置が組み込まれ、原子・分子をその質量で分離することで物質の特定が可能になっている。

その方法は2つ。
一つ目は、採取した火星の物体Xをオーブンで加熱して有機分子を揮発させ、揮発した物体Xを質量分析装置で分析する。荷電粒子に電界をかけたとき、粒子の種類に応じて質量電荷比が決まっているという性質を利用してサンプルの構成分子の種類を特定するのだ。2つ目は、加熱して揮発すると壊れてしまう大きな有機分子等に使われる方法で、レーザーで行う。レーザーによる短時間加熱で、分子が破壊されずに揮発させることでき、また、同時に分子を帯電させることが可能なこともレーザーの利点となると考えられている。

火星探査ミッション「エクソマーズ」では、「火星に生命体がいる/いた」のかどうか、という点も重大な探査の重大なテーマだ。地球上の生物のたんぱく質は左手系アミノ酸で、DNAは右手系の糖で構成されているのが普通だ。光学異性体である右手系アミノ酸や左手系糖の分子は使われていない。MOMAは分子の右手系/左手系を区別できる機能も備えており、火星でも地球と同じような偏りがある、ということになれば、火星に生命体がいる可能性が大きく跳ね上がることになるだろう。

憧れの宇宙人発見、となる可能性は無いと言っても良いだろうが、すぐ隣の惑星に生命体がいる、または、その痕跡があるとなればその発見は大きな一歩だ。広大な宇宙に地球がひとりぼっちじゃない、という最初の証明だ。計画スタートは2020年、それまでも、計画開始後も、期待大で見守っていきたいプロジェクトだ。

*Searching for Signs of Life on Mars

*マイナビニュース
https://news.mynavi.jp/article/20180601-639913/
https://news.mynavi.jp/article/20180601-639913/images/002.jpg 図2

http://natgeotv.jp/files/img/prgm_master/main_img/20140219/139281762964143.jpg (図1)

http://spaceinfo.jaxa.jp/files/15520.jpg (Top画像)

執筆者:株式会社光響  緒方