人工衛星や国際宇宙ステーションが地球を回る周回軌道には、故障や運用終了で捨てられた人工衛星や、破壊された物体の破片などの「スペースデブリ(宇宙ゴミ)」が多く存在します。宇宙開発にとって事故の原因となりかねず危険なスペースデブリの問題を解消するため、ロシアの国営宇宙開発企業Roscosmos(ロスコスモス)は直径3メートルという巨大なレーザーキャノンを使ってスペースデブリを撃ち落とす方法を検討していることを明らかにしています。
Russian space agency plans to incinerate space junk with powerful laser beam — RT World News
https://www.rt.com/news/429291-laser-clear-space-junk/
Russia Wants to Blast Space Junk with Laser Cannon
https://www.livescience.com/62820-russia-space-lasers.html
スペースデブリは時速約2万8000kmというとてつもないスピードで地球の周りを飛んでいるため、非常に高い運動エネルギーを持っています。そのため、たとえ小さな破片であっても人工衛星や宇宙船に衝突すると大きなダメージを及ぼす危険性があります。大気がある地上であれば、空中を飛ぶものは空気の抵抗を受けていつかスピードが落ちて地面に落下します。しかし、空気がない宇宙空間では抵抗となるものがないため、基本的にスペースデブリは最初のスピードからほとんどスピードを落とさずに飛び続けるため、何らかの方法で除去しないといつまでたっても危険が存在し続けることになります。
この問題を解消するため、Roscosmosの研究開発部門であるPrecision Instrument Systems(PIS)は非常に強力なレーザーをスペースデブリに照射して飛行軌道を変え、地球に落下させるという方法を提案し、その研究開発にかかる費用の援助を申請したとのこと。PISが開発の視野に入れているのは、直径3メートルという口径を持つ半導体式レーザーキャノンで、既存の大型望遠鏡の技術を流用するとのこと。つまり、これまでは宇宙にある人工衛星やスペースデブリなどの物体を見るために使われていた望遠鏡の技術を使い、地上から宇宙にある物体に向けてレーザーを照射する装置を作ろうというわけです。照射されるレーザーの強さなどは不明ですが、目的とするところは宇宙を飛ぶ物質に高いエネルギーを持つレーザーを照射し、加熱して材質を蒸発させることで分解してしまうというもの。分解で生じた破片はその後、大気圏に落下して燃え尽きるものと考えられています。
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