SACLA(レーザー施設)により銅キューブ粒子の内部構造変化を可視化

理化学研究所(理研)放射光科学研究センター生命系放射光利用システム開発チームの苙口友隆客員研究員、中迫雅由客員主管研究員の共同研究チームは、金属ナノ粒子の一つである「銅キューブ粒子」の成長に伴う内部構造とその変化を、X線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA」を光源として用いたX線回折イメージング(XDI)法によって明らかにしました。本研究成果は、これまで手探りと経験則で行われてきたナノ粒子作製方法に、新たな基軸と展開を与えるものと期待できます。

サブマイクロメートルサイズのナノ粒子の物性は、イメージング技術、新しいフォトニック材料、医工学などの分野において技術革新をもたらす可能性があり、応用研究が進められています。応用研究では、ナノ粒子の形状・サイズ・内部構造を制御する必要があり、それらを観察することが重要です。形状・サイズは、電子顕微鏡で観察できますが、内部構造を観察する測定手法はありませんでした。今回、共同研究チームは、「XFEL-XDI法」を用いて銅キューブ粒子1,637個の内部構造を可視化することに成功しました。その結果、これまで一様だと考えられていた内部構造に大きな偏りがあることを見いだしました。さらに、得られた多数の内部構造に対して、統計解析およびマニフォールド解析を行うことで、粒子の成長過程に伴う内部構造の変化を明らかにしました。

背景
サブマイクロメートルサイズの「ナノ粒子」は、表面効果や量子効果によってバルク固体とは異なる独特な物性を示すため、現代のナノテクノロジーにおいて重要な基盤技術の一つを担っています。金属ナノ粒子の液相合成法の発展により、さまざまな形状やサイズを持つ粒子が比較的簡単に作製できるようになりました。それに伴い、ナノ粒子をイメージング技術、センシング技術、新しいフォトニック材料、医工学といった幅広い応用技術に利用する研究が急速に発展してきました。

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