ヘビは油で全身コーティング。詳細なレーザー調査で判明。

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世の中に生き物好きな人は多い。が、そんな人でもコレはイヤ!!と徹底拒否されがちな生き物がいる。「ヘビ」だ。

動きが嫌だ、鱗が気持ち悪い、目が怖い等々、嫌な理由は色々あるみたいだが、そもそも「本能的にイヤなんだ!!」という如何ともしがたい人も多い。複雑な模様や、鮮やかな色の美しいヘビも沢山いるのだが、模様とかキレイとかいう問題ではなく何もかもがダメなのだろう。尤も、嫌う人も多い分、熱烈なヘビ好き/爬虫類好きなマニアも一定数以上いるわけだからトントン、というところかもしれない。さて、ヘビには手も足も無いわけだから当然歩いたり走ったりする筈がなく、体をくねらせて移動する。その動きこそが「気持ち悪い!!」と叫ばれる所以の一つでもあるのだけれども、その不気味且つ滑らかな動きにはあまり知られていない秘密があることをご存知だろうか。

ヘビの鱗は一見全身同じに見えて、実は背と腹で違いがある。地面に接する腹側の鱗の方が断然に滑らかなのだ。這って移動するのだから引っかかることなく進めるように腹側が滑らかなのは当然の進化なわけだが、不思議なことに、腹側と背側の鱗に構造の差が全く見られない。専門家が高解像度顕微鏡でいくら調べても、だ。ということは、鱗は均一でその上を何かでコーティングしている、ということになる。米・オレゴン州立大学化学工学者ジョー・バイオ氏とドイツのマックス・プランク高分子研究所のトビアス・ヴァイドナー氏は共同研究の中で、カリフォルニアキングヘビの脱皮後の抜け殻を事細かに調査した。

2人はヘビの皮に隈なくレーザーを照射して、鱗の表面分子がどんな風にレーザー光を反射/散乱するかを調べた。この結果と他の調査結果を重ね合わせたところ、極薄の脂質が鱗を覆っていることが判明した。その厚さは数ナノメートル。人間の髪の太さの数万分の一しかない。ヘビの体はこの薄い薄い油膜で全身が覆われているというのだ。しかも、腹側と背側で脂質の成分を変えて、腹側はより滑らかで均一な油の層で構成されているという。これが、ヘビの滑らかな動きと、木の幹でも岩の上でも砂の上でも動き回れる高性能ぶりの秘密だったわけだ。しかし、ヘビと人間の長いかかわりの中で、日常的にヘビに触れる機会の多い人間は数えきれないほど居た筈だ。動物園の爬虫類飼育係しかり、インドのヘビ使いのおじ様達しかり、だ。手袋越しでなく素手で蛇体に触れている人は特に、何故ヘビが全身を油でコーティングされていることに気付かなかったのだろうか。驚くべきことにこのヘビが纏っている油は、人が手で掴もうが砂を這おうが樹上をうろつこうが、鱗から剥がれることが無いのだ。地面に痕が残ることも無く、人に手に付着することも無い。だから、詳細に調査されるまでヘビが油塗れだという事実に誰一人気が付かなかったのだ。

ヘビの滑らかな動きを人工的に再現して役立てようという試みは多くなされているが、この剥がれない極薄油膜コーティングを再現することができれば、レスキューロボを始め多くのロボットの機能向上に役立つことは確実だろう。近年まで発見されなかったヘビの秘密が、お役立ち物質として活躍する日もそう遠いことではないかもしれない。

参考
*NATIONAL GEOGRAPHIC
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/121100361/

http://sekaino-bukimi.com/wp-content/uploads/2017/07/d30be8c7dda34b79e30d32d19e83249b.jpg (Top画像)

https://static.pepy.jp/wp-content/uploads/2016/11/03042148/shutterstock_307352090-e1483967476695.jpg (図1)

http://livedoor.blogimg.jp/fabledfabled-animalkakaku/imgs/3/5/350e7642.jpg (図2)

執筆者:株式会社光響  緒方