宇宙戦争に備えろ! アメリカがレーザー攻撃に対抗するAI搭載人工衛星の開発に着手!!

宇宙空間での戦闘、と言われれば想像するのは小回りの利く戦闘艇、巨大な宇宙母艦、或いは更に巨大な宇宙要塞あたりだろうか。そして、攻撃手段は実弾ではなくレーザーだ。強烈な光が戦艦を貫く光景はSFの醍醐味と言っても良いだろう。とは言え、あくまでも空想科学の世界の話だ。現実に兵器としてレーザーを使用するならわざわざ可視光にせず不可視光を使うだろうし、小型艇のパイロットがレーザーによる攻撃を視認して回避するというミラクルも起こらない(何しろ光速だ)、レーザーの性質上、命中した艦艇が爆発炎上するということも余程の条件が揃わないと無いだろう。そして宇宙空間では爆発音はしないだろうし、色々と想像とは違う状況になることは間違いない。
しかし、宇宙空間で戦闘、ということに関してはそう遠くないうちに勃発する可能性は大いにある。既にそれを視野に入れた開発も行われ始めている。

現在、地球を取り巻く宇宙環境は些か厳しいと言わざるを得ない。そう、スペース・デブリ問題だ。既にその数は大小含めて5兆8000億個を超え、このままでは早々に6兆個に手が届きそうだ、という有様だ。この対策として、中国が提案し開発を進めているのが、レーザーによるデブリの除去だ。宇宙空間に強力なレーザーを搭載した設備を打ち上げ、デブリに照射してその方向を変えて危険でない領域に移動させよう、という計画だ。同様にロシアもデブリ対策としてこちらは地上からレーザー砲でデブリを撃ち落す計画を立案している。成功すれば今後の宇宙開発にとって素晴らしいことなのだが、問題が無いわけではない。

そのまま兵器になってしまう可能性が大なのだ。

例えば、ロシアが計画しているデブリ除去装置はレーザーアブレーション技術を使ってデブリを蒸発させて撃墜する直径3mの半導体レーザー砲だ。既に建設中の光学望遠鏡を流用可能ということなのだが、これが実現すれば光学検出システムによりデブリの除去どころか運用中の他国の人工衛星の撃墜すらも可能となることは確実だ。また、中国が計画している宇宙にレーザーを搭載した装置を打ち上げる方法にも同様の懸念が示されている。

これに対抗してアメリカが開発を計画しているのは、「AIを搭載した撃ち落されない人工衛星」だ。同時に、武装型人工衛星の開発や防御用の腕(のようなもの)を取り付けたり、自己修復能力を搭載したりすると言った案も検討されているようだ。
また、人工衛星というのは基本的に大量の燃料を積み込むことができない。つまり攻撃されることが分かっても素早い回避行動をとることは難しい。機動性のある衛星が主流になってくることも考えられるが、それでも限界はある。その為、対地同期軌道に衛星をずらすことなども考えられている。

携帯電話、GPS、天気予報もテレビ放送も、現代生活には最早人工衛星の存在は必須だ。それが破壊されれば被る損害は計り知れない上に、「壊されたからすぐ次を」とポンポン打ち上げられる性質の物でもない。宇宙開発に関しては、建前上は平和を前提として行うことになってはいるが、あくまでも建前だ。やったもの勝ちで、衛星破壊を行う国が出ないという保証は誰にもできない、というのが現実だろう。映画や小説のようなド派手なものではないが、宇宙戦争の前哨戦は既に始まっているのかもしれない。同時に、スペース・デブリ問題を放置することができないのも事実だ。このままいけば宇宙戦争勃発などと騒ぐ前にデブリに人工衛星を破壊され、大量のデブリに取り囲まれた地球から一歩も出られず人工衛星も打ち上げられず、宇宙旅行など夢のまた夢状態に陥る可能性すら決して小さくはない。デブリは何とかしなければならない、しかしレーザー兵器化は困る。何とも悩ましい限りだ。

参考
*カラパイア
http://karapaia.com/archives/52271983.html
http://karapaia.com/archives/52264577.html

*GIZMOD
https://www.gizmodo.jp/2018/06/russian-lazer-space-debris.html

https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Flivedoor.blogimg.jp%2Fkarapaia_zaeega%2Fimgs%2F6%2Fc%2F6ce5a92d.jpg (Top画像)
https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Flivedoor.blogimg.jp%2Fkarapaia_zaeega%2Fimgs%2F4%2F7%2F47f4a5d3.jpg (図1)

執筆者:株式会社光響  緒方