(レーザー関連)光を用いたコヒーレントイジングマシンと超伝導量子ビットを用いた量子アニーリングマシンの計算性能を実験で比較

日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:澤田純、以下NTT)は、情報・システム研究機構 国立情報学研究所(東京都千代田区、所長:喜連川優、以下NII)と共同で、縮退光パラメトリック発振器のネットワークを用いて組合せ最適化問題の解を高速に探索する情報処理の新手法「コヒーレントイジングマシン」の特性を評価する実験を行い、コヒーレントイジングマシンのもつ柔軟なノード間接続の仕組みが、複雑なグラフ構造の問題を高い正答率で解くうえで重要な役割を果たしていることを明らかにしました。今回の一連の実験では、コヒーレントイジングマシンだけでなく、超伝導量子ビットを用いた情報処理手法「量子アニーリングマシン」でも同じ組合せ最適化問題で正答率を比較しました。その結果、辺密度の高いグラフに対して、コヒーレントイジングマシンが量子アニーリングマシンを上回る正答率を示すことを明らかにしました。この実験結果から、コヒーレントイジングマシンは、ノード間の柔軟な相互接続によって複雑なグラフ構造の問題を高い正答率で解くことが可能であり、組合せ最適化問題に適した情報処理手法であると評価できました。

本研究では、NTT物性科学基礎研究所および米国スタンフォード大学に設置されているコヒーレントイジングマシンと、米国NASAエイムズ研究センタに設置されている量子アニーリングマシンを用いて、様々な辺密度をもったグラフに対する最大カット問題の正答率評価を行いました。その結果、辺密度の高いグラフにおける解探索に対して、コヒーレントイジングマシンが量子アニーリングマシンを上回る正答率を示すことが実験で確認されました。この研究成果は、コヒーレントイジングマシンに実装されている測定・フィードバック法と呼ばれる仕組みが、多数の縮退光パラメトリック発振器の間に複雑なネットワーク構造を実装する基盤技術として有用であることを示すものであり、より大規模な組合せ最適化問題を高速に解くイジング型計算機の実現に寄与することが期待されます。本研究成果は、2019年5月24日14時(米国時間)に米国科学誌「サイエンス・アドバンシーズ」で公開されます。

なお、本研究開発は内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の山本喜久プログラム・マネージャーの研究開発プログラムの一環として行われました。

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