東京大学
日本原子力研究開発機構
理化学研究所
発表のポイント
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- 「悪魔の階段」として知られるスピンが複雑な配列を示す相転移現象において、伝導電子の振る舞いが激変している様子を観測することに初めて成功しました。
- 「悪魔の階段」のメカニズムは40年以上も謎でしたが、本来自由に動き回る伝導電子が局在スピンとの強い相関状態を受け入れることで形成する擬ギャップ状態が要因であることを突きとめました。
- この伝導電子が磁性を担うスピンとの強い相関は、巨大な磁気抵抗特性を示す磁性材料設計の新たな指針を提案するものです。
3. 発表概要:
東京大学物性研究所(所長 森初果)の黒田健太助教、新井陽介大学院生、近藤猛准教授を中心とするグループは、同研究所の鈴木博之高度学術専門職員 、徳永将史准教授、日本原子力研究開発機構の芳賀芳範研究主幹、東京大学大学院工学系研究科の有田亮太郎教授(理化学研究所創発物性科学研究センター チームリーダー兼任)らの協力のもと、セリウム・アンチモンが示す「悪魔の階段」の複雑な相転移現象において、強い相関状態を受け入れることと引き換えに生じる伝導電子の特殊な振る舞いを解明しました。
膨大な数ある磁性体の中で、セリウム・アンチモンは最も複雑な磁性を示す物質の1つとして知られています。通常の磁性体とは大きく異なり、結晶中のスピン配列が通常の20倍にもなる異常に長い周期性を示し、配列の仕方が僅かな温度差で次々と移り変わります。この現象は、その複雑怪奇さから「悪魔の階段」として呼ばれ1977年の発見から40年以上たった現在でも、そのメカニズムは謎のままでした。
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