(レーザー関連)レーザ・アークハイブリッド溶接によるアルミニウム合金と合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA材)の異材接合技術を開発

■要旨
株式会社ダイヘンは、アルミニウム合金(以下、アルミ)と亜鉛メッキ鋼板(以下、鋼板)の異材接合を実現するレーザ・アークハイブリッド溶接において、2020年1月に実用化したアルミと溶融亜鉛めっき鋼板(以下、GI材)の接合技術に続き、近年、自動車業界をはじめとする様々な分野で普及している合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以下、GA材)の接合技術を開発いたしました。本技術については、12月2日から幕張メッセで開催される「Photonix 2020」に出展(古河電工ブース No.2-26)、接着・接合専門技術セミナーにて講演を行います。

■開発の背景
自動車業界においては、CO2排出量削減(燃費向上)を目的とした車体軽量化のため、部材に高強度な鋼板を適用し板厚の低減が図られています。また、近年の電気自動車(EV)の普及により更なる軽量化のためマルチマテリアル化が進んでおり、その軽量素材の筆頭となるアルミと鋼板を、高品質かつ低コストで接合できる溶接技術が求められています。これらの要求に応えるため、2020年1月には、アーク溶接にダイヘン独自のアルミ溶接用の電流波形制御技術と、精密な入熱制御が可能なレーザ技術を組み合わせた独自の溶接・接合システムを開発、6000系アルミとGI材の接合において5000系溶接ワイヤとの組合せにより、6000系アルミ部で母材破断する接合強度を実現いたしました。一方、近年の自動車車体における防錆を目的とした表面処理鋼板への要求品質は更に高度化し、亜鉛めっき鋼板の材質面での改善が図られたGA材が普及しています。GA材はGI材に比べ、めっき層の付着強度が強く、プレス性、溶接性、塗装耐食性に優れているなどの特長があり、自動車車体のほか家電や建築業界にも適用が進んでいます。しかし、GA材のめっき層には鉄(Fe)成分が含まれるため、アルミとの溶融接合においてGI材よりも脆弱な金属間化合物(以下、IMC)が生成されやすいという課題がありました。そこで今回、新接合法「パルスレーザ・アークハイブリッド接合法」を開発、6000系アルミとGA材の接合において、4000系ワイヤとの組み合わせにより実用的な接合強度を実現しました。

■特長
1.アルミとGA材の溶融接合で実用的な強度を実現

    • アルミとGI材の接合に用いている、ダイヘン独自の「シンクロフィード溶接法」と古河電工独自のビームモード制御によるレーザ・アークハイブリッド溶接法において、レーザ光をこれまでの連続照射方式からパルス照射方式(図1)に変更することで、高いピーク出力によりGA材のめっき層を除去し接合性を向上、レーザ未照射期間に入熱を抑制しIMCの成長を抑制。
    • 6000系アルミとGA材の接合において、4000系ワイヤとの組み合わせにより引張強度110MPa(JIS規格スポット溶接部の引張せん断強度換算値でA級判定基準の2倍以上、図2)を実現。

2.導入が容易

      • アーク溶接をベースとした異材接合技術であるため、現状の溶接ラインに使用されている設備が流用可能
      • 構造部材の形や生産工程を大きく変更することなく、構造部材の素材をアルミに変更することが可能。

3.工程時間を半減

      • リベットや接着剤などといった他の接合方法と比べ工程時間が半減し、特殊な材料も不要となるためランニングコストを低減

出典:https://www.daihen.co.jp/newinfo_2020/pdf/201125.pdf

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