(レーザー関連)産業技術総合研究所/最も単純な「原子」ポジトロニウムをレーザー光によって1000万分の1秒で極低温にすることに成功

-反粒子を含む原子の精密科学によって物理学の謎にせまる大きな第一歩-

発表のポイント

  • 電子とその反粒子である陽電子でできた「原子」であるポジトロニウムは、2個の素粒子だけでできているという単純さから既存の理論による計算と実験データを緻密に比べて、理論を超えた未知の物理現象の探索実験ができます。そのためにはポジトロニウムを絶対零度近くまで冷やす必要がありますが、冷却が難しく、絶対零度にほど遠い100ケルビン程度までしか達成できていませんでした。
  • 原子を絶対零度近くまで冷やす手法として、レーザー冷却と呼ばれる方法がありますが、ポジトロニウムは1000万分の1秒程度で「対消滅」という現象を起こしてなくなってしまうこともあり、これまでの方式が使えません。今回、独自の技術によって波長が急速に変化するパルス列のレーザー光を開発し、対消滅が起きるより早く1ケルビンまで急冷することに世界で初めて成功しました。
  • 今後、光によるエネルギー準位や質量の精密な測定が可能となり、物理学の基礎理論の検証や反物質の性質の理解など、物理学が抱える謎を解くための研究分野が大きく進展します。

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