日本考古学界に快挙が続いている。
先日、富雄丸山古墳(奈良県奈良市丸山)の円墳が、日本最大規模であることが航空レーザー測量による調査で判明したことをお伝えしたばかりだが、山形県長岡南森遺跡を同じく航空レーザー測量で調査したところ、東北地方で最大と見られる前方後円墳が発見されたのだ。
仮に南森古墳と名付けられたその前方後円墳は、推定全長161~168m。築造は4~6世紀ごろと見られている。前方の円形と後方の方形の比率は6:4.5で、県内の主要な前方後円墳と一致している。
きわめて近い位置の稲荷森遺跡にも前方後円墳(96m)があり、大和政権とつながりがあった人物が埋葬されていると推定されている。至近距離で新たに大規模な古墳が見つかったことからも、周辺に強い力を持った地方政権が存在した可能性が考えられている。
2016年度に行われた三次元航空レーザー測量では、機材を搭載したヘリコプターで500m上空から、木々に覆われた長岡南森遺跡にレーザー光を照射した。
赤く浮かび上がったのは、後円が少し欠けた古墳の姿だ。古墳を覆った森林をものともせず、レーザーは正確に古墳の今の姿を写しだしてくれた。それをもとに等高線を用いた地形図も作成されている。後円の欠損は後世の築城や宅地造成の影響と見られており、南陽市教育委員会は来年度に本格的な調査を行い、副葬品等の発見を目指していく方針だ。
古墳は日本全国に多数点在しており、詳しい調査が成されていないままのも多い。歴史的遺物、といえば、寺社仏閣や海外の大規模建造物を思い浮かべることが多いかもしれないが、日本国内にもまだまだ未知の古代ロマンが大量に眠っているのだ。前回お伝えした富雄丸山古墳の調査と合わせて、調査結果の続報を楽しみに待ちたいものだ。
*全国遺跡報告総覧 南森測量調査報告書
http://sitereports.nabunken.go.jp/ja/19892 (図1、図2)
*山形新聞
http://yamagata-np.jp/news/201711/18/kj_2017111800355.php
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執筆者:株式会社光響 緒方