拠点を増やし、仲間を増やし、領土を拡大していく3Dシューティングゲーム、と言えば最近では特に珍しくも目新しくもない。
登場キャラクターが全て、「海産物」、でなければ。
図1
ハリセンボンが全方位砲を放ち、鮭は口からレーザーをぶっ放し、蟹が対空砲火やレーザーソードで応戦し、イセエビは甲羅でレーザーを跳ね返す。全方位砲もレーザーも対空砲火も普通のシューティングゲームで普通に出てくるものなのだが、撃っているのが海産物というだけで「なんだこれ…」感が拭えないシュールな逸品となっているのは、『Ace of Seafood』、海産物の覇者を決定するシューティングゲームだ。
舞台は人類が滅亡した後の海の中。オープンワールドで展開する。世界各地の海に点在する漁礁を全て支配下に置き、海の王者となる為に戦うわけだが、最初の操作キャラクターの選択が既に何とも言えない気分を味あわせてくれる。
図2
当然、「人間」の選択肢は無い。素性は否も応もなく海産物となる。しかも実にリアルな海産物だ。
そして、操作説明が終わると表示されるのが、
図3
『この世界では多くの生物が射撃能力を持つ』・「わかる」・「わからない」
わかりたくなくても、「わかる」を選択するまでゲームが始まらず延々とこの質問を繰り返されるので、あきらめてレーザーを撃ちまくる海産物を受け入れるしかない。
一旦受け入れてしまえば、ゲーム自体のつくりは非常に手堅く良く出来ている。占拠した漁礁は回復ポイントやセーブポイントとなるが、中に入るには先住者である海産物を殲滅する必要がある。
こんな風に。
図4
図5
どの海産物も見事にレーザー光線を使いこなしている。人間世界なら水中では減衰するはずの威力も、海産物界ではおかまいなしのようだ。舞台は人類滅亡後の世界ということだが、滅ぼしたのは海産物なのではないか、と思えるほどだ。
能力は海産物の種類によって異なる。そして、漁礁で倒した海産物を手に入れた遺伝子で繁殖させ仲間に加えることもできる。努力次第で大王イカや本マグロを従えることも夢ではない。
因みに、ゲーム中では何故か戦艦も海産物扱いとなっている。倒せば遺伝子が手に入るので、頑張れば艦隊を組んで普通のシューティングゲーム気分を楽しむことも出来る。
画像も美しく、リアルな海産物がダイナミックに戦う様は爽快感があり、勝利する毎に増えていく仲間の海産物も大いに楽しませてくれる。敵も味方も海産物であるという設定に慣れてさえしまえば非常に楽しめるゲームに仕上がっている。
難を言えば、操作とカメラワークが少々難しいところだが、これは回数をこなしてコツを掴んでいくほかは無い。
誰でも簡単に海産物になり、海の覇権を巡って戦える『Ace of Seafood』。海産物になりたい夢を捨てきれない方には堪らないゲームとなっている。
Windows版、iOS版、Android版、WiiU版が発売されている。お好みの機種でお楽しみ頂きたい。
尚、開発したNussoftからは、『Ace of Seafood』の前作となる『NEO AQUARIUM -甲殻王』も配信されている。こちらは読んで字の如く甲殻類の王者を決めるべくバトルするシューティングゲームだ。レーザー砲やレーザーソードを駆使するエビやカニ、フジツボの熱いバトルが展開される秀逸な作品となっている。甲殻類に特別な思い入れのある方は、こちらもお楽しみ頂けること請け合いである。
図6
*Nussoft
*iPhone Game Cast
http://www.gamecast-blog.com/archives/65880157.html
*Game Park
https://www.gamespark.jp/article/img/2016/04/11/65045/144494.html(図5)
*http://cdn.edgecast.steamstatic.com/steam/apps/450500/(図1)
*http://livedoor.blogimg.jp/terashima999/(図2,3,4)
*エース・オブ・シーフード PV 2017(図6)
「執筆者:株式会社光響 緒方」