レーザーによる近視治療に新技術。リレックススマイル

人間の生活は視力に頼る部分が大きい。日常生活に使用する五感の割合は 視覚87%、聴覚7%、嗅覚2%、触覚3%、味覚1%と言われており如何に重要かが窺える。
その為、視力が低下した場合の不便さは他の機能のそれよりも、圧倒的な不便を強いられることになる。その事実は大昔から変わらず、その不便さを解消すべく人はメガネを生み出し、技術の進歩に伴いコンタクトレンズを、そして1995年アメリカFDAによってレーシック手術が承認された。日本国内においても2000年に厚生労働省の認可を受け、今では広く一般に広まっている。これにより、「器具を装着して視力を補助する」、時代から、「視力そのものを回復する」時代へと移行したのだ。

 図1

そして現在、レーザーで近視を治療する「スマイル」(Small incision lenticule extraction、SMILE)という治療法が話題となっている。(日本では「リレックス」又は「リレックススマイル」と呼ばれることが多い。以下リレックス。)
2016年アメリカFDAがスマイルに使用する機械を承認したことで注目を集めているが、レーザーによる近視治療と言えば、前述したレーシック手術も同様である。
ではどのような違いがあるのか。

レーシックは、角膜表面に「フラップ」と呼ばれる蓋を作り、角膜内部を削ることで角膜の角度を変え、視力を回復する。

①角膜表面にフラップ(蓋)を作る。
②フラップを開けて内部を削る
③フラップを閉じると削った部分とフラップが自然に癒着する。

一方、リレックスは、角膜内部に直接レンズ型の切片(レンチクル=抜き出す部分)を作成し、小さな切開部から抜き取ることで視力を矯正する。

①角膜内部に直接レンズ型の切片を作成する。
②角膜表面を切開しそこから切片を抜き取る。
③抜き取った部分は自然に癒着し、角膜の角度が変わり視力が矯正される。
*以上引用「視力回復.jp」
https://sightcure.jp/recovery/relex.html

上の図を見て分かるようにレーシックとリレックスでは角膜表面の切開範囲に大きな違いがある。レーシックはフラップの為に約20mm、の切開が必要であるのに対し、リレックスは切片の抜き取り口を作れば良いだけなので約3mmと極僅かで済む。この切開の小ささがリレックスの利点である。
また、レーシックに代わりリレックスを利用するメリットとしては、傷口画が小さい為術後の痛みが少ない、ハロ、グレアや再び視力が低下する術後戻り等の後遺症・合併症が少ない、レーシックで問題となったドライアイになりにくい、フラップが無いのでずれる心配が無く格闘技等の激しい運動も可能である、とレーシック手術と比較して大きな進歩がみられる。
しかしながらデメリットもやはり存在し、この技術が確立されてから10年程度の為将来的な危険性は未だ不明であること、症例数が少なさや、再手術が不可能であることなどは念頭に置いておかなくてはならない。
また、最新のレーシック技術と比較した場合、レーシックに使用されるエキシマレーザーにはアイトラッキング機能(施術中に眼球が動いても自動で追尾する機能)が備えられているのに対し、リレックスで使用されるフェムトセカンドレーザーにはそれが無いという点も指摘されている。

 図2

エキシマレーザーによる矯正精度の誤差が最大2マイクロメートルであるのに対し、フェムトセカンドレーザーは最大で20マイクロメートルと10倍もの差があり、照射が瞳孔の中心からそれた場合に偏心照射となり、不正乱視や偏頭痛といった後遺症が発生する可能性がある。その為、医師の中にはリレックスよりも、最新のレーシックの方が安全性は高い、いう主張があることも忘れてはならない。

新しい技術であるからこその懸念や技術的な進歩の余地はあるが、施術1年後の視力統計は90%が1.5以上をキープしていることも事実であり、その効果の程は疑う余地が無い。安全性と術後の将来的な弊害の有無がはっきりすれば、
レーシック以上に、視力の回復を望む人々からの需要はあるのではないだろうか。
最後に、日本では未だ厚生労働省の認可はないが、自由診療という形であれリレックスを受けることは可能だ。病院によって違いはあるが施術費は32万円前後とレーシックよりは高額となっている。

レーシックで失敗しない為の予備知識
http://lasik110.info/entry53.html(図1、2)

視力回復.jp
https://sightcure.jp/recovery/relex.html

「執筆者:株式会社光響 緒方」