富雄丸山古墳、国内最大の円墳と判明。航空レーザー測量で。

奈良県奈良市丸山にある、富雄丸山古墳が調査の結果日本最大の円墳であることが分かった、と奈良県教育委員会が発表した。

富雄丸山古墳は4世紀後半に作られたとされる円墳で、史跡指定はされていないが石製品・鍬形石・合子・管玉・銅製品等の出土品(京都国立博物館蔵)は重要文化財に指定されているほか、三角縁神獣鏡が出土した事でも知られている。

昭和47年の調査では2段構成、直径86m、高さ10mとされ、昭和57年の再調査では祭礼用の造り出しの存在と共に、直径102m前後である可能性も指摘されていたが、今回の調査結果では、より大きなものだったことが明らかになった。
今回行われた調査の方法は、航空レーザー測量による遺跡調査だ。

航空レーザー測量は、図2のように「レーザー測距・GNSS・IMU」の集合技術だ。
レーザー測量装置はレーザーを照射して地上から反射して帰ってくるまでの時間差で距離を計測する。カメラも付いている為、航空写真も同時に取得可能だ。
これに加え、GNSSで航空機の位置を把握し、IMUで航空機の姿勢や加速度を計測してレーザーの発射された方向を正しく補正する。

このシステムを使って新たに調査された富雄丸山遺跡は、3段構成、直径110mとより規模の大きなものであることが判明した。これは、日本最大の円墳とされてきた埼玉県丸墓山古墳を抜いて、全国1位の規模となる。また、祭礼に使われたとみられる舞台状の造り出し部分も再確認された。

奈良市では来年度以降に発掘調査を行い、より詳しい規模や構造を明らかにしていく方針だという。

あまり知られていないが、日本全国に点在する古墳の総数は、161,560基(平成13年文化庁調べ)。コンビニの総数よりもはるかに多いというのは驚きだ。
古墳について残されている記録は古く、新たな調査が必要なものも多々あるが、現地調査が困難な場合や、複数回調査をしなければならない場合もある。また、範囲が広大な古墳もあり、調査が進みにくいという現状があった。
この航空レーザー測量の導入によって、161,560基もの古墳の調査が進めば、日本の歴史に新しい事実が書き加えられる日がくるのかもしれない。

参考
*産経新聞
http://www.sankei.com/west/news/171115/wst1711150103-n1.html

*国土地理院
http://www.gsi.go.jp/kankyochiri/Laser_senmon.html
http://www.gsi.go.jp/common/000137590.jpg (図2)

*日経新聞
https://www.nikkei.com/content/pic/20171115/96958A9F889DE0E1E7E3E3EBE2E2E3E7E3E3E0E2E3E59180EAE2E2E2-DSXKZO2353014015112017CR8000-PN1-1.jpg (図3)

*wikipedia
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/8/89/%E5%AF%8C%E9%9B%84%E4%B8%B8%E5%B1%B1%E5%8F%A4%E5%A2%B3%E5%87%BA%E5%9C%9F_%E4%B8%89%E8%A7%92%E7%B8%81%E7%A5%9E%E7%8D%A3%E9%8F%A1-2.JPG (図1左)

*文化遺産オンライン
http://bunka.nii.ac.jp/heritage/43967/_123004/43967_123004120327165608079_300.jpg (図1右)

執筆:株式会社光響  緒方