中国・上海の実験室で世界一強力なレーザーが作られた。病気の治療、建築物の非破壊検査、次世代の粒子加速器の開発につながるといわれ、世界中で開発競争が進んでいる。だがその一方で、研究の進展が「真空の崩壊」を招く可能性もあるという。
上海の新レーザー
今月24日の英「Daily Star」によると、このたび世界最強のレーザーを作成したのは中国科学院と上海科技大学の合同研究チームだ。彼らの作った超短パルス・高強度レーザー実験装置SULF(Superintense Ultrafast Laser Facility)は、チャープパルス増幅法によって超短パルス・高ピーク出力レーザー光を実現、現在世界最高の5.3ペタワット(5300兆ワット)の出力を得たという。装置はテーブルに乗るほどの大きさで、中にはフリスビーほどの大きさの、チタンで覆われたサファイアのディスクが入っている。このサファイアを光で照らし、鏡やレンズで増幅すると驚くほど超強力なレーザーが出力される。生じたパルスは1兆分の1秒という長短時間で消えてしまう。これだけでも大きな成果であるが、開発チームを率いる物理学者・李儒新(Ruxin Li)氏らの野心はまだまだ止まらない。彼らは今年100ペタワットのレーザーの構築に着手するという。だがそのような高出力レーザーは、物理学者たちを興奮させる一方で世界を崩壊させる危険性を含む、とある実験を可能にする。
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