コロラド州立大学(CSU)の研究チームは、ナノワイヤをレーザー加熱することによって微小な規模での核融合反応を引き起こすことに成功したと発表した。核融合反応にともなう中性子の生成に関して、これまでにない高い効率を記録したという。研究論文は「Nature Communications」に掲載された。
核融合炉開発に向けた通常のレーザー核融合実験では、巨大なレーザー装置が使用されるが、今回使われたのは研究チームが自作した卓上サイズのパルスレーザーである。規則的に配列した重水素化ポリエチレンのナノワイヤをこのレーザーで加熱すると、太陽内部の条件に近い極めて高温高密度のプラズマが生成され、プラズマ核融合反応が引き起こされるという。重水素化ポリエチレンは、通常のポリエチレンに含まれている水素を重水素に換えたものであり、ここでの核融合はD-D反応と呼ばれるタイプの反応になる。D-D反応では、重水素同士が核融合してヘリウムに変換され、その過程で中性子が放出される。
論文によると、重水素化ポリエチレンのナノワイヤを配列した材料を用いることによって、核融合反応にともない1ジュールあたり2×106個の中性子が観測された。これは同じ重水素化ポリエチレンの平板状ターゲットを用いたときの約500倍の中性子生成効率であるという。またシミュレーションで予想されていたとおり、パルスレーザーのエネルギーを上げることによって中性子の放出が急激に増加する現象も観測されている。
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