日本は島国だ。島国と言うだけに島で構成されているわけだが、メインとなる本州、北海道、四国、九州込みで、「日本国内」の島の数は6,852もある。これはインドネシアの約17,500、フィリピンの約7,500に続いて世界第3位。我が国は堂々たる島国なのだ。全島の所在地と名前を覚えている人が何人いるだろうか、と思いたくなる大量に過ぎる島々の中に、現在進行形で領海の拡大に貢献している島が存在する。
東京に南1,000km、小笠原諸島に所属するその島の名前は「西之島」。海底火山の噴火によって誕生した火山島だが、この島を生み出した火山は現在も絶賛活動中、しかもとても元気に活動中なのだ。1973年、西之島の東南600m付近で噴火し、新しい島が誕生。「西之島新島」と命名されすくすく育った挙句、西之島に合体。その後、小さな島が生まれたり消滅したりしながら暫く休眠し、波の浸食で少し削られる。
2013年に今度は西之島南南東で大噴火。またしても着々と成長し、噴火から1ヶ月ほどで西之島に到達。まだまだ噴火は続き、島は形を変えながら成長を続け、スヌーピーに似ていると話題をさらった時期もあった。
それから現在に至るまで、小規模・大規模の噴火を繰り返し、成長を続けているわけだ。この西之島、やはり日本の領土なので測量が必要だ。島の正確な大きさと言うのは実は非常に重要で、EEZの広さに影響を与えてくるのだ。領海やEEZの範囲を決める根拠となるのは「低潮線」と呼ばれる干潮時の海岸線だ。今年7月、海上保安庁は干潮時の西之島の国空レーザー測量を行ったところ、2016年時よりもさらなる成長が見られ、日本のEEZは46㎢、領海は4㎢拡大することが観測された。海図は来年度を目途に改定される予定だという。
成長を続ける西之島だが、一度も大陸と繋がったことが無くしかも形成途中の島ということで、生物学的にも非常に興味を持たれている島でもある。人間が一切影響を与えない、例えば、体に付いた種子や船で運ばれる虫や菌、ネズミ等の獣を全く持ちこまず、全てを自然の力に任せたら島がどのような環境に育つのか。それをリアルに観察できる絶好の機会なのだ。上陸を許可された専門家たちは、徹底した管理の元で島の外の物を持ちこまない対策をし、成長を続ける西之島の環境を保護しつつ観察/観測を続けている。既にカニや海鳥、エビなどによる生態系の確立が始まっていて、植物も海鳥や風に運ばれて繁茂してくると考えられている。西之島がどんな島になるのか期待を込めて見守っていきたいところだが、島がどこまで大きくなってくれるのか、火山活動が何時まで続くのか、今の私たちが生きている間には結果を見られない壮大な観察なんじゃないのか、とか色々思いながらも、西之島の成長が楽しみであることに変わりはない。
参考
*中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018100501002186.html
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/2018nishinoshima/20180730photo/photo1_20180730s.jpg (Top画像)
図1~4
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/6a/New_Island_in_Volcanic_Island_arc%2C_near_Japan..jpg/300px-New_Island_in_Volcanic_Island_arc%2C_near_Japan..jpg
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/72/Nishinoshima_ali_2013358.jpg/300px-Nishinoshima_ali_2013358.jpg
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/da/Growth_of_Nishino-shima_Volcanic_Island.jpg/300px-Growth_of_Nishino-shima_Volcanic_Island.jpg
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d2/SnoopyIsland20150301.jpg/300px-SnoopyIsland20150301.jpg
執筆者:株式会社光響 緒方