農業=肉体労働のイメージは強い。きつくて辛くて天候に出来栄えを左右されがちという、若者がなんとなく避けたくなってしまう印象は否めない。しかし、最近の農業関連情報を見ていると、そういったよろしくないイメージが覆されつつある。しかも、盛大に、だ。
ロボットが管理する野菜栽培工場や、害鳥/害獣を追い払ってくれるレーザー装置、森林や田畑を管理するドローン等々、最新テクノロジーを駆使した現代農業の変化は止まることを知らないようだ。その発展著しい農業テクノロジーに、新たな注目株が出現している。
オレンジ色の愛らしいボディにタイヤを備え、トカゲとヤモリとカエルを足したような外見のこのロボットは「レイチェル」という。人間の膝の高さにも届かない程度の小型ロボットだが、彼女は立派な農業用ロボットだ。このレイチェルには、USBポート4個、GPS受信機、進行方向制御ようのレーザーシステムが搭載され、後部にはスマートフォンも設置されており、流行のテクノロジーの塊となっている。この最新技術を乗せたボディで畑を走り回って巡回し、3秒ごとに畑や作物、土壌を撮影して農地全体がどんな状態なのかを把握したマップを作成するのが、「レイチェル」の仕事だ。
このロボットが現在活躍しているのは、Small Robot Companyという農業用小型ロボットを開発するスタートアップと農家が共同経営する農場だ。Small Robot Companyは、将来的には農地のマッピングだけでなく、種を蒔くところから水遣り、除草も収穫も、農作業に関わるすべての事柄をロボットが行えるようになり、それはそう遠い未来のことではなく数年程度先のことだと考えているという。小型ロボットの導入により、特に小規模農場では農薬使用量の減少等により60%程度のコスト削減が可能で、経営者の収入を約40%上昇させることができると見込まれている。小規模農場の増加は、現在主流となっている大規模農場が抱える問題、農薬の大量使用による弊害や土壌浸食を解決できる可能性があり、そのメリットが注目され始めている。
農業の現場にロボットが採用される例は増え始めており、フルオートの搾乳機やカリフラワーやイチゴの自動収穫機、自動採卵機に餌やり機等、多くの新技術が各方面で活躍している。2019年にはレーザー式除草ロボットがイギリスの農場で稼働を開始する、という話もあり、着々と農業のロボット化は進められているようだ。日本では農業従事者の高齢化に頭を抱えている状況だが、ロボット導入により効率化された農業の現場に興味を持つ若者も増えてくれるのではないか、という期待も寄せられている。
*Three Small Robots and their dream to feed the world
参考
*GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20181023-rise-of-robot-farming/
*The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2018/oct/20/space-robots-lasers-rise-robot-farmer
*Small Robot Company
https://www.smallrobotcompany.com/
http://droneschooljapan.com/wp-content/uploads/2017/07/%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%881.%
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執筆者:株式会社光響 緒方