地球の外に生命体は存在するのかしないのか。仮に存在するとして、その彼らは知的生命体なのかそうではないのか。人に似ているのか?タコに似ているのか?言葉は?食べ物は?酸素を吸って二酸化炭素を吐くのか?彼らの星に海はあるのか?我々地球人から見れば「宇宙人」にあたる彼らに出会ったら、見てみたいこと、聞いてみたいことは溢れんばかりにある。普段は然程宇宙に興味が無い人でも、手を挙げて質問してみたいことが5つや6つはある筈だ。
しかし、非常に残念なことに未だ地球人の中の誰も、地球外に住む知的生命体に遭遇したことが無い。(キャトルミューティレーションとか色々オカルト的話はあるが、信憑性云々や諸事情により遭遇はしていない方向で話を進めたい。)正直、寂しい限りだ。広い宇宙に地球一人ぼっちは孤独すぎる。しかし、そんなに悲観的になる必要は無い。地球人が宇宙に向かってメッセージを発信し始めたのは極々最近の話なのだから。明確なメッセージを送ったのは1977年に地球を飛び立った探査機ボイジャーに積み込まれたゴールデンレコードが最初だろう。宇宙基準の時間にすれば瞬き程の間だろう。これから「宇宙人」に遭遇できる可能性はいくらだってある、かもしれないのだ。
そういうわけで、向こうからのアプローチを待っているだけより、こちらからもココにいるよアピールをした方が遭遇確率はUPするはず。そんな試みをマサチューセッツ工科大学の研究者達が提案している。
MITのジェームズ・クラーク氏が提案しているのは、既存のレーザー技術を使って、「宇宙人」たちに我々の存在を知らせる為のビーコンを作りだそう、という試みだ。それは、1~2メガワットの高出力レーザーを有効口径30~45メート級の大型望遠鏡で収束して宇宙空間に放出するという方法だ。これならば、太陽エネルギーの中でも認識可能な強い赤外線を生成することができる。ビーコンは「太陽の赤外線放射の少なくとも10倍以上」を目指して設計され、大型の赤外線レーザーと望遠鏡を使えば、「宇宙人」たちが検出できるほど目立つ宇宙ビーコンができあがる、としている。これは、既存の技術と近い将来開発される可能性が高い技術を組み合わせることで、実現が可能になるそうだ。もし、提案通りのビーコンを宇宙空間に作りだしたとすると、地球から最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリを周回する惑星や、トラピスト1、つまりハビタブルゾーン(生命居住可能領域)にあるとされる星々から、認識できるものになる。そこに宇宙人が住んでいたとして、その中に天文学者がいればほぼ確実に地球から何かのメッセージが発信されていると気付いてもらえる、というわけだ。
2メガワットの出力のレーザーと有効口径30メートル級の望遠鏡を組み合わせれば、地球から4光年離れたプロキシマ・ケンタウリを周回する惑星から、1メガワットのレーザーと有効口径45メートル級の望遠鏡を組み合わせれば、地球から約40光年の距離にあるトラピスト1周辺の惑星からの検出も可能な赤外線を作りだせることが判明しているとのこと。また、多くの大型天体望遠鏡やブレークスルースターショット計画のレーザー照射装置と同様に、レーザーの拡散を抑える為、乾燥した地域の高い山の上に設置することが望ましい。が、やはりレーザーについて回る問題として、安全性については大きな課題として残されていて、メガワット級のレーザーは1㎡あたり約800Wの電力密度を必要とし、太陽に近くなればその電力密度は1㎡あたり約1300Wまで上昇する。赤外線は不可視光だが、直視すれば失明の可能性が大いにあるレベルだ。その為ジェームズ・クラーク氏は、月の裏側のように確実に無人で安全性が確保された場所で実験を行うべきかもしれない」とも語っている。
この計画を実現すれば、夢にまで見た地球外知的生命体との出会いが訪れるかもしれないし訪れないかもしれない。どちらにしても夢のある話だ。そして、地球人が最初に出会う地球外知的生命体が、いきなり侵略を開始ししたり、地球破壊を目論んだりするような喧嘩っ早い宇宙人ではなく、優しく平和的且つ友好的な方々であれば良いな、と願うばかりである。あと、なるべく親しみの持てる容姿なら尚良い。ジェームズ・クラーク氏のこの論文「フィージビリティ・スタディ(実現可能性の検討)」は、天文学と天体物理学を扱う査読制度付き学術雑誌アストロフィジカルジャーナルに掲載されている。
参考
*MIT News
https://news.mit.edu/2018/laser-attract-alien-astronomers-study-1105
https://news.mit.edu/sites/mit.edu.newsoffice/files/styles/news_article_image_top_slideshow/public/images/2018/MIT-Alien-Beacon_0.jpg?itok=pZo-oEBO
(図1)
*GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20181107-laser-technology-porch-light-earth/
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/61/Alpha%2C_Beta_and_Proxima_Centauri_%281%29.jpg/1200px-Alpha%2C_Beta_and_Proxima_Centauri_%281%29.jpg (図2)
https://www.nao.ac.jp/contents/news/topics/2017/20170223-exoplanets-fig.jpg (図3)
http://spacesite.biz/AndrM31.jpg (Top画像)
執筆者:株式会社光響 緒方