【NASA】Lidarでアマゾンの熱帯雨林を3Dデータ化。気候変動の影響を数値化。

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一昔前、森林調査と言えば研究者や調査員が現地に赴き、生え放題の下草や生い茂る葉や枝の妨害を受け、時にはクモや爬虫類や昆虫のありがたくない歓迎を受けながら目視で樹木を数え、手作業で高さや太さを測るという只管に根気と体力を消費するなかなか過酷な調査だった。それは、日本の山林や、北欧の森でも変わりなく、勿論世界最大の密林アマゾンでもこの手法で行われてきた。手間でもなんでもこれしか方法が無かったからだ。

しかし、技術の進歩は素晴らしい。今や山林や密林の調査の為に蒸し暑い密林に分け入らなくてもいいし、毒蛇を踏まないか注意をはらったり、突然の悪天候でずぶ濡れになったりする必要もない。上空からLidarを搭載した航空機やドローンで速やかに鹿も広範囲のデータを収集できる時代になったのだ。照射したレーザーが対象にあたって跳ね返り、戻ってくるまでの時間で計測を行うLidarは、30万/秒回のパルスレーザーで人力では不可能な詳細データを取得してくれる。しかも広大なエリアを短時間で計測することが可能だ。そのエリアが熱帯雨林のように気が生い茂っていても何の問題も無い。

そんなLidarで取得したデータを使って、NASAのゴダーと宇宙センターがブラジルの熱帯雨林を3Dモデルで再現している。使われたのは2013~2014年と2015~2016年に、現地の上空を飛行して50kmに渡って取得したデータだ。木々1本1本の位置や高さ太さ、形状が記録されている。2つの時期を比較することで熱帯雨林の減少を可視化することが目的だ。殊に2015~2016年はエルニーニョ現象によってアマゾンが大きく影響を受けた年でもある。熱帯雨林の状況を知る為には非常に重要な調査だったと言えるだろう。


*図1: エルニーニョ現象発生時の3〜5月(北半球の春)の天候の特徴(気象庁)


*Amazon Canopy Comes to Life through Laser Data

結果は、2013~2014年の林冠の減少率が1.8%だったのに対し、2015~2016年は65%も減少していたことが判明した。これは自然保護区ではない地域も同様で、人為的な開発や森林伐採での減少を合わせると更に高い減少率となっている。また、大きな木ほど旱魃に弱いと考えられてきたが、大きさによる方よりは特に見られず大小関わりなく枯れてしまうようだ。地球環境を考えるとこの調査結果は朗報の類だ。大きな木は中に溜まっている炭素量が多く、枯死した場合に放出される二酸化炭素量が増加する為だ。

熱帯雨林は旱魃に弱く気候変動によって受ける影響は大きい。今回の調査の様に減少率を数値化できれば、旱魃時の熱帯雨林の変化を予測できるようになるだろう。NASAは、航空機ではなく人工衛星から地上の森林の変化を観測できる更に高性能なLidarを開発中だという。

参考
*Discovery
https://www.discoverychannel.jp/0000020519/

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4b/Amazon_Manaus_forest.jpg (Top画像)

https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/db/elnino/learning/tenkou/fig_sekai/ElNino_mam.png (図1)

ご参考:
(株)光響にて取り扱い中のLiDAR(自動運転)製品:Hesai Photonics Technology社製品

執筆者:株式会社光響  緒方