安藤ハザマ(本社:東京都港区、社長:福富正人)とパンチ工業株式会社(本社:東京都品川区、社長:森久保哲司)は、名古屋城本丸御殿の錺金具(引手)の試作品をスキャニングし、3Dデータ化に成功しました(図1、図2)。
1.背景
文化財・歴史的建造物の分野では、建物そのものや装飾造作物などをデジタルデータ化して保存しようとする動きがあります。その中で、社寺や城郭に取り付けられている錺金具は、魚々子(注1)や蹴り掘り(注2)といった非常に微細な意匠を持ち、写真でも細部の記録が困難です。それらをデジタル立体データで残すことができれば、先人たちの技の緻密さを後世に伝えることができます。
2.概要
錺金具は、微細な意匠に加えて金銀の光沢や、煮黒味(注3)という黒色が用いられているという特徴があります。3Dスキャナは、レーザーやLED光を対象物に照射して形状を計測するため、光を反射しない黒色、光沢のあるもの、透明なものはうまくスキャニングできず、微細な文様を再現することも難しいという問題がありました。 今回、名古屋城本丸御殿で復元された襖引手金具の試作品について、スキャナの機器選定、光量・撮影モードの調整及び700種類以上の素材を使用したレンダリング(注4)を行うことで、スキャニングにおける光の反射という問題を解決し、魚々子や蹴り彫り、毛彫り(注5)、鏨(注6)のあとといった彫金技術のデータ化に成功しました(図3、図4)。さらに、上洛殿で実際に使われている錺金具の製作者である株式会社後藤錺金具製作所の指導のもと、レンダリングの最終調整を行い、金箔、煮黒味の色や質感、微細な彫金技術、泥七宝(注7)の色艶や気泡などが忠実に再現できました。
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