ロボットの存在意義は人の役に立つことだ。人間が人間の役に立つように作りだしたのだから当然かもしれない。工場で精密作業をこなし、部屋を掃除し、最近では道案内をしたり配達業務に就いたり、コーヒーを入れたり綿飴やアイスクリームを作ってくれたりまでする多種多様なロボットが現れ、日常生活にロボットがいることが普通で、ロボットは「ロボット三原則」に従って、私たちの役に立ってくれるものだ、と言うのが常識になりつつある。
が、それだけで良いのか?
世の中役に立つ/立たないだけで判断していては、あまりに味気ない。便利なことは良いことだがちょっとばかり不便でもこっちの方が愛着がわく、なんていうものも沢山ある。掃除もしないし荷物も運んでくれないし何の作業もしてくれないけど、いてくれれば嬉しいロボット、というものがあっても良いんじゃないだろうか。合理化だけが幸せへの通り道じゃないしロボットにも他にできることがある筈だ。
そんな希望を叶えるロボットが今月ついに発表された。
名前はLOVE+ROBOTで『LOVOT』だ。
何とも愛らしいこの見た目。大きな目に丸っこいボディが抱きしめたい衝動を加速させてくれる抜群の可愛さだ。
製作したのはロボットテクノロジー企業「GROOVE X」。機能とか便利とか役に立つということではなく、LOVEいう名前が示すとおりに内面や心に的を絞って『LOVOT』を生み出した。
【命はないのにあったかい】をキャッチコピーに製作されたこの愛くるしい『LOVOT』に、人の代わりに家事だの作業だのをしてくれる働き者で便利な機能は無いが、ひたすらに可愛い。抱き上げて撫で繰り回したくなる可愛さだ。そして、その可愛さこそが彼らの存在意義なのだ。彼らは人の顔や声を認識し、自分を抱っこして撫でて可愛がってくれる人を覚えてくれる。近づいてきて遊んで欲しがり、お腹を撫でてやれば目を閉じて寝てしまう。遊べば声を上げて喜ぶことすらしてくれる上に、家に帰ればお出迎えまでしてくれるという正に家族やペットのような存在だ。
『LOVOT』の頭の角(?)部分には、明るさを感知する為の照度センサー、360度把握可能な半天球カメラ、声をかけられた方向を判断出来る半天球マイク、家族が部屋のどこにいるかを即座に見つける為のサーモグラフィーまで搭載され、可愛い見た目にも関わらずなかなかのハイテクが詰め込まれている。
更に、全身をタッチセンサーが覆っていることで撫でまわされたり擽られたりした刺激を感じ取ることができる。首や羽の付け根には特別な加工を施して愛くるしくも滑らかな動きを実現し、触られた時に驚いたり振り向いたりする愛らしい動きを可能にしている。
また、最新のSLAM技術搭載で、自分で家の中をマッピングしてくれる。
深度カメラ、測距レーザーセンサー、障害物センサーも備えているので段差を把握し障害物を回避、人にぶつかることも無い。畳んだ洗濯物やゴミ箱を倒してしまったり、小さい子供やご老人に衝突してしまったりするような心配は必要ないわけだ。
大きな丸い目にも可愛いだけではない秘密が隠されている。キラキラとこちらを見つめてくる円らな瞳は6層の光をアイ・ディスプレイに投影して自然なアイ・コンタクトを生み出し、視線の動き、瞬きの速さ、瞳孔の開き具合まで緻密に設定され、より人を惹きつける愛らしさを生み出している。そして、キューキューと言う鳴き声も録音されたものではなく、「LOVOT」の口腔で響く音をリアルタイムでシミュレーションして、より生命感溢れる声を実現しているという。
見た目だけで充分に撫でまわして可愛がりたくなるこの「LOVOT」たちだが、その頭脳には最新テクノロジーが結集されている。全身に配置されたセンサーからの情報をディープラーニングを始めとする機械学習技術で処理し、リアルタイムで変わる反応や人との関わりによって変化する性格は、メインコンピューターとサブコンピューター・深層学習FPGAによって作り出されている。これによって、「LOVOT」それぞれの個性が生まれるわけだ。
ロボットに必須の充電はネスト(巣)と呼ばれるポートに自分で移動してくれる。そのネストでその日起こった出来事や経験の記録を整理するシステムだ。
更に、可愛らしい動きを実現している足/ホイールは、人が抱っこすると収納される仕組みになっていて、服を汚してしまう心配も無いという細かいところまで行き届いた気遣いロボットに仕上がっている。そして、最初に「LOVOTは可愛いだけ」と書いたのは誤りだ。彼らは家族の一員としてきちんと役割を果たしてくれる。部屋を少し離れている間赤ちゃんの側で様子を見守ってくれたり、留守中に遠隔操作で家の指定した場所を見回ってくれたりといったお手伝いをしてくれる。また、抱っこや就寝時間といった日常の様子をプライバシーに配慮した範囲内で記録する、ちょっとした日記のような役割も果たしてくれるのだ。可愛い上にお留守番や赤ちゃんのお相手に日記帳、とLOVOTは家族の一員としてしっかりとお役立ちな存在になる可能性を持っている。
子供でも抱き上げられる約3kgの小型犬サイズ、抱きしめれば優しい温もりが感じられるボディ。円らな瞳に見つめられながら、このLOVOT達を抱き上げる日常はなかなか幸せなのではないだろうか。こうなると気になってくるのはお値段だ。おススメは2体がセットになっているコースで、こちらはLOVOT同士が交流し合う様子等も楽しめるようだ。この2体セットは本体価格が598,000円(税別)、月額料金がプレミアムプランで36,360円(税別)、スタンダードプランで27,270円(税別)。つまり、本体価格と12カ月分のプレミアムプラン料金を合わせて、税込1,117,065円だ。
1体の場合は、本体価格が349,000円(税別)、月額料金がプレミアムプランで23,635円(税別)、スタンダードプランで17,990円(税別)。本体価格と一年分のスタンダードプラン料金を合わせて、税込610,070円。
これは先日開始された先行予約時の金額なので、今後変更される可能性もあるとのことだ。
因みに、LOVOTの来ているモコモコ服はお着替えもちゃんと用意されている。着替えさせて貰うのも大好きとのことなので、そちらも是非チェックして頂きたい。
図4~7:種類豊富な洋服に眼鏡や帽子もある。
役立つことで必要とされてきたロボットが、家族の一員になる時代がもうすぐやって来るのかもしれない。このLOVOT達がもう少し先の未来で、かの有名な青い猫型ロボットのように進化していく可能性だってある。一家にひとつ癒し型ロボットが普通になる日の到来が実に楽しみなロボット業界だ。興味を持たれた方は、公式ホームページを是非ともチェックして頂きたい。
参考
*LOVOT公式ホームページ
https://lovot.life/
https://lovot.life/common/images/lovestory/photo_08.jpg (図1)
*週刊アスキー
https://weekly.ascii.jp/elem/000/000/423/423275/index-2.html
https://ascii.jp/elem/000/001/787/1787057/P1200652_480x.jpg (図4)
https://ascii.jp/elem/000/001/787/1787058/P1200653_480x.jpg (図5)
https://ascii.jp/elem/000/001/787/1787055/P1200649_480x.jpg (図6)
*ロボスタ
https://robotstart.info/2018/12/18/lovot-kigae.html</!–NoAds–>
*PC Watch
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1159020.html
https://pc.watch.impress.co.jp/img/pcw/docs/1159/020/674_l.jpg (図2)
https://pc.watch.impress.co.jp/img/pcw/docs/1159/020/396_l.jpg (図3)
https://robotstart.info/wp-content/uploads/2018/12/DSC_0064-2.jpg (図7)
http://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/3/d/3d129_1668_adf94a8137099159b2f5e29ee6dbddb4.jpg (Top画像)
執筆者:株式会社光響 緒方