(レーザー偶奇分離法)ジルコニウム奇数同位体の特異的イオン化法を開発

理化学研究所(理研)光量子工学研究センターアト秒科学研究チームの藤原孝成研究員、小林徹専任研究員、緑川克美チームリーダーの研究チームは、ジルコニウム(Zr)に対して「レーザー偶奇分離法」を適用し、従来提案されていた電子状態に比べて、奇数質量数の同位体のイオン化効率を約30倍増大させる電子状態を発見しました。

本研究成果は、既に進展が報告されているパラジウム(Pd)のレーザー偶奇分離と合わせて、放射性廃棄物の減量・資源化の実現に向けたレーザー偶奇分離技術を大きく前進させるものと期待できます。

原子力発電所の使用済み核燃料を再処理した際に発生する「高レベル放射性廃棄物」には、核分裂生成物としてジルコニウムやパラジウムなどの有用元素が含まれています。このうちジルコニウムには、半減期の長い放射性同位体の93Zrと5種類の安定同位体(90Zr、91Zr、92Zr、94Zr、96Zr)が存在するため、ジルコニウムを資源化するには、93Zrを分離除去する必要があります。しかし、従来提案されている電子状態ではイオン化効率が低いという課題があり、それがジルコニウムへのレーザー偶奇分離法応用の障壁となっていました。

今回、研究チームは、ジルコニウムの高効率イオン化の実現を目標に、広範なエネルギー領域にわたる分光探査を行った結果、イオン化効率を従来法に比べて約30倍増大させる新しい電子状態を発見しました。

本研究は、英国の科学雑誌『Scientific Reports』の掲載に先立ち、オンライン版(2月11日付け)に掲載されます。

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