対害獣戦にドローン参戦! レーザーセンサーを駆使してv.s.鹿戦の勝利なるか

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2016年度の野生鳥獣による農作物被害総額は、前年度から3%減の172億円だ(2018年1月19日農水省発表)。3位は猿で10億円、2位はイノシシで51億円、燦然と輝く1位は鹿の56億円となっている。年々、野生鳥獣による被害は減少傾向にあるとは言え、農業に従事する方々にとっても、栽培される野菜を購入し食する一般人にとっても、仕方がない、と流せる規模の被害では到底ない。ありとあらゆる対抗策が提案・実行され続けているわけだが、最近では宮城県岩沼市の小野精工が開発した、対イノシシ撃退装置『逃げまるくん』がクマに対しても勝利し、害獣被害に悩む人々を歓喜させたことが記憶に新しい。そしてこの度、新たな挑戦者が新たな獣に挑むことが発表され期待を集めている。セコム株式会社(防犯・警備とグループ会社であるパスコ株式会社(地理情報サービス事業)は民間防犯用にセコムが開発した『セコムドローン』を活用した鹿による食害対策実証実験をこの4月から開始している。

『セコムドローン』は対象エリア内に車両や人が侵入するとレーザーセンサーで位置を検知。ドローンが自立飛行で接近し、ナンバープレート等を撮影してセコムのコントロールセンターに送信し、追跡や確保に役立てるシステムとして開発されている。夜間や無人状態のセキュリティ強化を目的とした侵入監視サービスだ。そのセコムドローンと侵入監視サービスの技術を応用し、京都農林水産技術センターの協力のもと、2017年に、京都府南丹市日吉町「STIHの森京都(府民の森ひよし)」で、食害対策の予備実験を既に実施している。

対象となる野生動物は、『鹿』だ。
奈良公園や宮島で呑気に過ごしているように見える鹿だが、前述したように食害の加害動物第一位は鹿だ。運動能力は極めて高く、設置した柵を時に飛び越え時に薙ぎ倒して農地に侵入して食べたいものを食べたいだけ食べて行く。殊に被害が深刻なのは森林で、鹿による被害は森林被害の8割を占める程だ。鹿の生息密度が高い地域では、鹿の口が届く範囲の葉、枝、木の皮、草等全てが軒並み食い尽くされる、という惨状を呈している。

林業従事者にしてみれば、呑気に鹿せんべいを食べる姿に和むどころの話ではない切実な問題だ。予備実験は2017年11月~12月にかけて行われ、設定された監視エリア内に侵入した鹿をレーザーセンサーで検知し、自動発進したドローンが鹿を発見、追跡してエリア外に追い払うことが可能かどうか検証された。

実験の際に撮影された写真からは、侵入した鹿にドローンが接近、追跡して追い払う様子が見て取れる。一定の効果を期待できることが証明された為、更に広範囲で起伏のあるエリアで、パスコの地図データを使って実用性を高める為の実証実験を行い、実用化を目指す方針だという。

イノシシと熊には『逃げまるくん』、鳥には『アグリレーザー・オートノミクス』、害虫には実用化が待望されている『Photonic Fence』(現在米農務省で実地検査中)。そして、見た目は可愛いく被害は大きくな鹿には『セコムドローン』。これだけ揃えられれば、農作物や森林への大規模被害は大幅な軽減が可能になるのではないだろうか。この先の情報が大いに気になる製品だ。

参考
*セコム株式会社
https://www.secom.co.jp/
https://www.secom.co.jp/corporate/release/2015/images/nr_20151210-2.jpg (図1)

*パスコ株式会社
https://www.pasco.co.jp/

*林野庁
http://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/tyouju.html
http://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/attach/img/tyouju-8.jpg (図2)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/attach/img/tyouju-2.jpg (図3)

*Drone Times
https://www.dronetimes.jp/articles/2793
https://www.dronetimes.jp/uploads/content/image/18740/__.png (図4)
https://www.dronetimes.jp/uploads/content/image/18742/nr_20180328_4.jpg (図5)

https://news.mynavi.jp/article/20131106-deer/images/001.jpg (Top画像)

執筆:株式会社光響  緒方