ひょっとしたら、もしかしたら。無いだろうけど万が一、億に一ならあるかもしれないし、絶対なんて世の中には存在しないし、無いなんて言いきれないからある可能性は捨てきれない!
人の心の中には多かれ少なかれこんな気持ちが隠れ潜んでいる。そしてそれが、ある意味トンデモ論的な陰謀論を囁かせる源になっているのかもしれない。それは時に突拍子が無く、面白く、ちょっとばかり薄ら寒いこともあるものだが、極々最近、というよりも今現在にアメリカで流れている物騒で荒唐無稽な陰謀論がある。11月初めから17日間にわたって燃え続けた、米・カリフォルニア州の山火事。11月25日に漸く消し止められたようだが、多数の死者・行方不明者を出す大惨事となった。高圧電線の故障が原因と見られているが、巷ではとんでもないものが原因として囁かれているというのだ。それが、『UFOによるレーザー攻撃』説だ。
正に荒唐無稽である。流石アメリカ、こんな時でもスケールが大きい。宇宙大戦争開戦前夜と言わんばかりの壮大さだ。しかし、火の無い所に煙は立たないという通り、これが全く根拠のない話というわけでも無さそうなのだ。下の写真ご覧頂きたい。
上空から一直線に地上に放たれたレーザーが、地上で爆発/白煙を上げ発火している様子が写されている。これこそがレーザー兵器による攻撃を受けた証拠であり、攻撃を仕掛けているのは宇宙人の操るUFOだ、というのが陰謀論者の方々の主張であるようだ。しかも彼らによると、非常に恐ろしいことにこの攻撃は単なる前哨戦に過ぎず、近いうちに本格的な地球侵略攻撃が開始されるのだとか。
しかも、出回っている噂はこのUFOレーザー攻撃説だけにとどまらない。イルミナティとアメリカ政府が組んだ謀略説や、指向性エネルギー兵器による実験説、カリフォルニア高速鉄道用敷地の確保の為説に、大統領中間選挙結果から話題を逸らす為説等々、の理由で人為的にこの大規模な山火事が引き起こされたとする種々様々な噂話が主にインターネット上で飛び交っているのだ。中には気象兵器との関連を疑うものや気候変動を促進するためだ、というものもあり、最早何が何やら、話半分どころか1/10くらいで聞いても多すぎるような有様だ。
そもそも、レーザー兵器で山火事を起こすことが可能かどうかというと、勿論可能だ。というよりも、わざわざレーザー兵器を持ちださなくてもクラスの高いレーザーポインターで充分だ(日本では販売は法律で規制されている)。火災発生時のカリフォルニアの気候は湿度10%程度。これは日本の乾燥注意報が湿度25~50%程度(地域差がある)で出される事を考えると、とんでもない乾燥具合だ。周囲一面カサカサだったと言っても過言ではない。兵器を持ち出すまでも無く、レーザーすらも必要なく、煙草1本、マッチ1本、或いは葉っぱ同士がこすれ合う自然発火や、小さな落雷一発で充分すぎる火災原因になる。仮にUFOからの攻撃だとしたら、そんなに簡単に燃え広がってしまう環境で火災を起こしたところで何の脅しになるのだろうか。「それぐらい地球人でもできるぞ」と言われて終わってしまうかもしれない。本格攻撃前の警告だとしても、自然災害と思われてしまっては警告のしがいも無いというものだ。また、開発中のレーザー兵器の実験だとしても、米軍が山火事頻発中のカリフォルニア山中に命中させる意味が分からないし、他国の兵器だとしたらアメリカが気付かないわけはない上に見逃してくれるわけがない。
と、まぁ夢も陰謀もなく言い切ってしまったら世の中も人生も面白くないかもしれない。レーザー兵器説に関しては、山火事の温度で焼けたとは思えない車やホイール、家がある一方で全く無傷な家もあるが、半焼/半壊といった通常の山火事なら当然有るはずの状態の物があまり見られず、これが指向性兵器(レーザー兵器)が使われた証拠なのではないか、という割と現実的な主張があることも紹介しておこう。常識では有り得ないことが実は本当だった、何てことも無いわけではないのだから、ひょっとしたら本当に山火事の原因がUFOからのレーザー攻撃だった、ということもあるかもしれないし、ないのかもしれない。
参考
*IB Times
https://www.ibtimes.co.in/aliens-illuminati-conspiracy-theorists-allege-outlandish-causes-behind-california-fire-785777
https://data1.ibtimes.co.in/cache-img-0-450/en/full/703623/1542439314_california-fire.jpg (図1)
*TOCANA
https://tocana.jp/2018/12/post_19015_entry.html
http://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/d/c/810×540/img_dca79c47149ebbe7f7640e282f8c41d0268605.jpg (Top画像)
執筆者:株式会社光響 緒方