京都大学化学研究所の森山貴広准教授、小野輝男教授らの研究グループは、岐阜大学工学部の林兼輔博士課程学生、山田啓介助教、嶋睦宏教授、大矢豊教授、カリフォルニア大学ロサンゼルス校物理学科のYaroslav Tserkovnyak教授らの研究グループと共同で、テラヘルツ帯の反強磁性共鳴によるスピンポンピング効果(磁化ダイナミクスからスピン流への変換現象)を実証しました。これまでスピンポンピング効果は、強磁性体におけるギガヘルツ帯の磁化ダイナミクスに付随して観測されていましたが、テラヘルツ帯の磁化ダイナミクスを有する反強磁性体では観測されていませんでした。本研究では、反強磁性体である酸化ニッケル中に重金属(白金やパラジウム)粒子を様々な割合で分散させたグラニュラー構造物質((NiO)1-xMHx、MH = Pt, Pd)のテラヘルツ透過吸収測定を行い、その共鳴スペクトル線幅の変化からスピンポンピング効果を実証し、その多寡を見積もりました。本成果は、テラヘルツ帯においても、磁化ダイナミクスからスピン流への変換現象を利用できることを示唆するものです。今後、反強磁性体を利用した、テラヘルツ帯で動作可能なスピントロニクスデバイスへの応用が期待されます。
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