賞金総額8億円超!! 深海4000mの技術バトル! 海底をレーザースキャンして計測する『Shell Ocean Discovery XPRIZE』

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日本、世界に関わらず世の中のあちこちで様々な「大会」と呼ばれるものが催されている。血沸き肉躍るような熱いものから、大真面目な堅物的大会、若しくは「全日本まくら投げ大会」(静岡県)だの「全国穴掘り大会」(千葉県)だのと言った面白真剣勝負の大会まで、思いつくままに実施された大会で、各参加者が鎬を削っているわけだ。そんな数多ある大会の中に、最新の科学技術を駆使して未知のエリアを探索する、という冒険心を擽る大会が、今まさに実施されているのを御存じだろうか。

『Shell Ocean Discovery XPRIZE』

米・XPRIZEロボット財団主催で行われているこの大会は海の底深くで各チームの技術と意地と誇りがぶつかり合う深海無人潜水艇競技会だ。

ルールは、

*ロボットの展開や回収を含め、有人支援母船を使用してはならない。また、すべての機材は40feetコンテナ1個に収まるようにする。

<実海域試験 Round 1>
*高速かつ広域での海底探査に必要な11項目の技術に関する評価試験。2017年11月-2018年2月に開催。

<実海域試験 Round 2>

*水深4,000mで24時間以内に最低250km2以上の海底マップを構築。海底ターゲットの写真撮影(10枚)。

2018年10月に開催。

日本からは、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)、東京大学、九州工業大学、ヤマハ発動機等が8機関からのメンバーで構成された『Team KUROSHIO』が参加しており、既に行われた<Round1>を突破し、決勝戦となる<Round2>へと駒を進めた。<Round1>の前に公開された自律型海中ロボットAE2000fは、全長3m、重さ370kg。レーザーによる精密探査システムを備え、機体後部から水中では最も減衰の少ない緑色レーザーを海底に照射して地形を精密に計測することができる。同時にカメラも搭載しており、光の差さない暗闇の海底での撮影の為にフラッシュを使用する。


海底7~8m辺りをレーザーとカメラを併用しながら移動し、海底の詳細な3Dデータを作成することができる。その精度は相当なもので、新潟沖で行われた潜航では、海底にいる蟹の姿さえもしっかり判別できる程だという。『Team KUROSHIO』はこの他にも、海中の地図を自動作成するAE2000a、海上・港湾・航空技術研究所開発のロボット「航行型2号機」の合計3機の無人潜水艇と、もう1機、洋上中継器のORCAを使用している。『Shell Ocean Discovery XPRIZE』では規定により洋上中継器も無人で運用されなくてはならない。その為、この洋上中継器ORCAが他の3機を計測エリアまで連れて行き、そこで活動させて、終わったらまた引き連れて帰ってくる、という謂わば、母艦の役割を担う重要なポジションに当たる。

重要な役割がゴムボート、と思わないでもないが、ここにも大会の規定が響いている。「全ての機材は40feetコンテナ1個に収められなければならない」のだから、収納しやすいコンパクト性は必須事項だ。地上にある有人の拠点からORCAまでは電波で通信し、水中では音波を使って通信を行うシステムになっている。

月だ火星だ有人航行だ、と宇宙が何かと話題になる昨今だが、実は足元にある海のことで人間が知っていることはほんの少しだ。深海ともなれば尚更、その実態は謎と神秘のベールの向こう側、否、ベールなどという薄いものではなく分厚い何重ものカーテンの向こう側、と言っても過言では無い。好奇心と探究心は人の性だ。科学技術の発展に伴って可能になった海底探査に挑むのは、当然と言えば当然なのかもしれない。尤も、そんな夢とロマンに満ちた理由だけではないのもまた当然だ。海底には、未発見の天然資源が大量に潜んでいる。油田、天然ガス、メタンハイドレード、レアメタル等資源の発見、発掘は重要課題だ。また、需要の増す海底ケーブルの敷設にも海底の地形データは必須となる。海底油田開発の高速化、低コスト化が大会の目的の一つであることは言うまでもない。資源の発見も大事だが、未知の部分が大半を占める海底を探索するのだから、油田だのメタンハイドレードだのといった現実的で、時には各国の紛争のネタになるような代物だけでなく、未確認の新生物だとか、太古の昔に沈んだアトランティス的な何かだとか、財宝を積んだ沈没船だとか、そういう夢とロマンに満ちた何かも見つけてくれないだろうか、という期待を持ってしまうのも仕方のないことだろう。

日本、欧米、インド他多数の国が参加するこの『Shell Ocean Discovery XPRIZE』。雌雄を決する<Round2>は、今年の10月に予定されている。賞金総額は700万ドル、日本円にして8億円だ。勝負の行方は、『Team KUROSHIO』は栄光をその手に掴めるのか、無人探査艇の技術はどこまで進化しているのか、期待大、注目必須の大会であることは間違いない。最後にXPRIZE財団は、月探査レース「Google Lunar XPRIZE」も主催しているので、興味のある方は要チェックだ。

参考
*Shell Ocean Discovery XPRIZE
https://oceandiscovery.xprize.org/

*Team KUROSHIO
https://team-kuroshio.jp/
https://team-kuroshio.jp/technology/images/tec_image03.jpg (図1)
https://team-kuroshio.jp/technology/images/tec_image02.jpg (図2)

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*livedoor’NEWS
http://news.livedoor.com/article/detail/12883487/
http://image.news.livedoor.com/newsimage/6/9/6967c_873_3a1a036ef3d4812093ca3df92aa86d7f.jpg (画像3)

https://www.mes.co.jp/recruit/new_grad/images/img_project_01.jpg (Top画像)

執筆者:株式会社光響  緒方