信号無視は水噴射で制裁! 中国でレーザー搭載の面白システムが稼働中

他の国から見たら変なシステム、というのは何処の国にでもあるものだ。日本だって海外の人から見れば「なんだコレ?!」的なものが相当数ある筈だ。そこら中にある自動販売機とか、単なるプラスチック製なのに張っておけば人が入って来ない黄色いチェーンとか。日本のご近所さん、中国で最近そんな「なんだコレ?!」がちょっとした話題になっている。

中国と言えば、近年までは自転車大国、最近では経済の発展に伴って自動車大国となりつつあるわけだが、そのマナー問題が常々取り沙汰されている残念な状況でもある。スピードの出し過ぎに信号無視に危険運転、路上駐車とやりたい放題の動画ネット上で見かけることは最早珍しいことでは無いわけだが、問題になっているのは自動車を運転する側だけでなく、歩行者側も相当なものなのだ。轟轟と車が走る通りを横断歩道も信号もないのに平気で横切り、鳴りまくるクラクションに怒鳴り返し、高速道路上で露店を開いて物を売り始める、等々、見ていて背筋が凍るような状況が日常的に存在しているようだ。
勿論、そんな光景ばかりではないだろうが、やはり中国国内でも問題視はされているようだ。そこで、試行錯誤の末に生み出された「なんだコレ?!」が面白い。

導入したのは湖北省大冶市。先ずは動画をご覧頂きたい。

*Jaywalkers, here comes the water spray!

交差点に設置された黄色いポールから、シャーっと水が噴き出している。しかも人に向かって。まさに「なんだコレ?!」だが、これが大冶市が編み出した信号無視防止装置(対歩行者用)だ。設置されているのは大冶市で一番交通量の多い交差点。急ぐ人たちはたとえ歩行者用信号が赤でも、渡れる、と思ったら迷わず足を踏み出してしまう。しかし、5本の黄色いポールが作るラインを超えると、容赦なく水を噴射しそれを阻止してくれるというわけだ。

親切なことにこのポールにはスピーカーが内蔵されていて、信号無視をする歩行者に対して、先ず「赤信号なので渡らないで下さい。水を噴射します」と、きちんと警告してくれるのだ。この親切を無碍すると容赦ない水攻撃を文字通り浴びることになる。因みに青信号に変わると「青信号です。気を付けて素早く渡って下さい」と教えてくれる。きちんと忠告を聞いている限りは実に良心的なシステムだ。

また、信号だけでなくポール自体にも現在の信号の色をレーザーで表示する機能が備えられていて、それも無視するとようやはり容赦のない水攻撃を受けることになる。交通事故だけでなく他の面でも安全に配慮されており、ポールから放たれるレーザー光が子供の目を傷つけることが無いように工夫もされているともことだ。そして機能はまだある。
このポールには更に顔認証システムまで搭載されており、信号も警告も無視して歩き去ってしまった人の顔を認証してそのデータを警察に送信してしまうというのだ。警察がデータベースと照会し、個人が特定できれば実名の公表すらも出来てしまうのだとか。2020年に向けて中国政府が試験的に運用している国民を点数で評価するシステムにも関わりがあり、悪質な場合は社会的信用度の悪化にも繋がるようだ。たかが信号無視、されど信号無視。大事故になる可能性もあるのだからここは厳しく取り締まってほしいものだ。

現段階では実名の公表まではされていないようだが、信号無視をした人の顔がその場ですぐに巨大スクリーンにデカデカと映しだされる、という非常に恥ずかしいシステムが稼働している。これだけで充分な辱めの刑になっているのではないだろうか。知り合いに見られたりしたら相当に恥ずかしいだろう。

しかもこの顔認証装置はこの恥ずかしい刑の為だけの稼働ではなく、犯罪者や不法労働者を探す為にも使われるとか使われないとか。
一見「なんだコレ?!」という面白装置だが、治安維持や防犯にも使われる一種の監視装置の役割も秘めているとは、なかなかに恐ろしい。

導入には日本円にして約2,180万円がかけられたが、横断防止策や罰金では薄かった効果が、かなりの成果を上げているとのこと。費用をかけただけのことはあったようだ。この効果を維持できるようなら、暫くすれば中国各地でこの装置が、そしてもっと時間が経てばきちんと信号を守る人々ばかりの中国の都市が見られる日が来るのかもしれない、と期待している。

参考
*GIZMODE JAPAN
https://www.gizmodo.jp/2018/04/china-splashing-mist-on-jaywalkers.html

*ZAPZAP!
http://zapzapjp.com/53346985.html
http://livedoor.blogimg.jp/zap2/imgs/5/4/54a2e19e.jpg (Top画像)

執筆者:株式会社光響  緒方